マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
みなさんこんにちは。株式会社インベストラストの福永博之です。いまさら聞けないテクニカル分析講座が始まって7回目ですが、今回は移動平均線についてお話ししたいと思います。
「移動平均」、あるいは「移動平均線」は、ほとんどの投資家が名前を聞いたことがある、または知っているテクニカル分析手法の一つですが、意外にその重要性が見落とされているのが現実です。そこで今回は、パフォーマンスを向上させるために「移動平均線とは...」からじっくり話を進めていきたいと思います。
そもそも移動平均線は、統計学で用いられていた移動平均法をテクニカル分析に応用したもので、この移動平均法をテクニカル分析に利用して紹介したのが、アメリカの証券アナリスト、ジョセフ・E・グランビルです(ちなみにグランビルは200日移動平均線を使って導き出した法則を紹介しています)。
また、この移動平均法ですが、もともとは時系列に並べられたデータのデコボコをなくして平均化しようとしたもので、テクニカル分析に使われる場合、短期、中期、長期といった時間のなかで、それぞれの価格変動をならして株価の方向を探ろうとするものなのです。
たとえば、突然ですが、あなたが八百屋さんで、野菜を安く仕入れて適正な価格で売らなければならない場合、どのように仕入れと販売を考えるでしょうか?
(仕入価格の推移)
当日:100円、2日目:105円、3日目:103円、4日目:99円、5日目:100円
上記の例で、どの値段で買って売ればよいか判断できるでしょうか。また、価格が値上がりするのか、値下がりするのか判断できるでしょうか?
仮に将来的に値下がりするのだとすれば、そもそもこの商品を値下がりする前に仕入れる必要があるのかといったことにもつながっていきます。
このように商品の値動き(=株価)だけを見ていたのでは、上がっているのか、下がっているのかの傾向が掴めませんし、株価の場合、思いこみが起こることも考えられます。価格動向を考えずに売買のタイミングを図ると、不適切な判断になりかねません。
こうした感覚的な判断になりがちな株価動向を、統計学上の移動平均法を用いて客観的に判断しようとしたものが移動平均線なのです。
したがって、移動平均線を見ないで投資を行っている人は、今株価が上昇傾向なのか、下落傾向なのかの判断がないまま投資を行っているということが言えるのではないでしょうか。
ではなぜ、そうした株価の動向を分析する必要があるのでしょうか。
よく長期保有が投資の王道で、長く保有していればいつか必ず株価は戻ってくるという話がありますが、過去の高度成長期など、株価が右肩上がりの状況だった時にはいつ買ってもそれで問題なかったのかもしれませんが、1989年12月に高値をつけてからリーマンショック後まで株価が下落するなかで、本当に株価の方向がどちらに動いているのかわからないまま株式を長く保有していてよいのでしょうか?
私は移動平均線の方向を確認することで、損失拡大を防ぐことができるようになると思いますが、みなさんはどう思いますか?
もちろん、移動平均線も万能ではありませんから、判断に狂いが出てくることもあるわけですが、少なくとも損失の拡大を防ぐ一つの判断材料になるのではないかと思われますので、これまで移動平均線を活用していなかった方は、これから是非移動平均線もチェックするようにしてほしいと思います。
コラム執筆:福永 博之 株式会社インベストラスト代表取締役
http://www.itrust.co.jp/recom/index.php
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