第32回 ETFと投資信託、どちらを選ぶべきか? 【ETF解体新書】

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第32回 ETFと投資信託、どちらを選ぶべきか? 【ETF解体新書】

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。当オフィスのカウンセリングでお客さまからしばしば受ける質問が、『カンさん。ETFと投資信託、どちらがいいのですか?』というものです。ふたつの金融ツールは「共通部分」と「異なった部分」を持っており、一概に「どちらのほうがよい」とは言い切れません。具体的に見ていきましょう。

まず、ETFと投資信託の共通項はどちらも「ファンド」であり、運用会社、受託会社(信託銀行)を擁して倒産リスクを隔離しています。次に、異なる部分です。ETFは株式市場に上場しているため、マーケットが開いている間、常に「市場価格」が変動します。それに対して投資信託は1日に一度しか「価格」がつきません。機動性の高さという点ではETFに分があるでしょう(ETFでは購入の際、目論見書を確認する必要もありません)。また、国内の公募投資信託は基本的に日本の投資家のみが買っていますが、ETFは上場商品であるため、外国人投資家も多数売買しています。では、購入単価はどうでしょうか。投資信託の場合、概ね1万円程度から購入することができます(積み立て投資なら1,000円程度から可能)。ETFも国内上場のものなら、銘柄数のおよそ8割は5万円以下で購入することが出来ます。

続いて購入時の手数料です。投資信託であれば、購入時手数料ゼロの「ノーロード型」を選ぶことが出来ますが、ETFには売買委託手数料がかかってきます。しかし、継続コストである信託報酬ではETFに分があります。通常のインデックス・ファンドと比べても、ETFの信託報酬のほうが低い場合が多いのです。ところで、投資信託の利便性が如実に表れるのは、毎月定額で積み立て投資を行う場合でしょう。ETFは金額ベースで売り買いをすることが出来ません(口数単位での売買となります)。また、銀行口座から自動的に引き落としを行う仕組みにも基本的に対応していません(株式累積投資ができる証券会社は除く)。ざっくり申し上げると、毎月ベースのお金は投資信託で、まとまったお金(おおむね500万円以上)はETFで、というような棲み分けが必要になるのです。次に、投資家の性格別で見ていきましょう。

ETFを好む人は自分で「市場価格」を見て、自身の判断で注文するというプロセスそのものに惹かれます。自分に裁量権(コントロールできる範囲)があったほうが心地よいと感じる人ですね。一方、投資信託を好む人は、基準価額がいくらのときにファンドを買ったのかをあまり気にしません。自分の裁量で物事を決めるよりも、仕組みが効率的にファンドを購入し、管理してくれることに心地よさを感じる人です。メンテナンスの部分で言いますと、投資信託は分配金を自動的に再投資することが出来ますが、ETFでは分配金が払い出されてしまいます(分配金の再投資は、自身でコストをかけて行わないといけません)。

また海外ETFの場合、米ドル建て、香港ドル建てのETFの資産価格を円建てに換算して、資産管理を行う必要があります。つまり、資産管理 → リ・バランス実施の過程で、自分の資産の世話を焼くことを厭わない人がETF向きといえるでしょう。一方、運用管理を極力シンプルに行いたい人は投資信託向きといえます。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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