第37回 多彩なランナップを誇る、米国のレバレッジ・インバース型ETF 【ETF解体新書】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第37回 多彩なランナップを誇る、米国のレバレッジ・インバース型ETF 【ETF解体新書】

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。

このコラムの第12回目でご紹介しましたレバレッジ・インバース型のETFが日本で活況を呈しています。一例を挙げてみますと、日経平均レバレッジETF(1570)は、1日の売買高がコンスタントに200万~500万口程度あります。また、日経平均インバースETF(1571)も1日あたりの売買高は20万~60万口程度をキープしています。これまで個別株をトレードしてきた投資家が、自身の相場観を当てはめやすいツールとしてこれらETFを利用しているのです。現在、日本ではETNを合わせても、レバレッジ・インバース型の商品は16銘柄程度ですが、海の向こうアメリカでは250本以上のレバレッジ・インバース型ETFが上場しています。具体例を挙げてみましょう。米国のProSharesというETF運用会社のページをご覧いただくと、Geared(125)というカテゴリーがあります。

http://www.proshares.com/funds/

Gearedとはまさにレバレッジ・インバースを指しており、同社だけで125本のレバレッジ・インバース型ETFが運用されています。その内訳はレバレッジ型が53本、インバース型が72本となっています(意外とインバース型のほうが多いのですね)。また、日本ではレバレッジは×2倍型のみ、インバースは-1倍のみですが、米国では×3倍型のレバレッジ、また、-2倍、-3倍型のインバースETFも存在します。たとえば、Ultra Dow30(DDM)は、ダウ平均株価の1日あたりの変動率の2倍の値動きを目指すレバレッジ型ETFです。その他、先進国株式(米国除く)、新興国株式、中国、日本、メキシコ株式などのレバレッジ型ETFがラインナップされています。あるいは、米国小型株、中型株、業種別の株式、金、銀、石油ガスなどのレバレッジ型ETFも存在します。それだけではありません。米国国債20年物、あるいはオーストラリアドル(通貨ETF)のレバレッジ型もあります。それぞれ、Ultra 20+ Year Treasury(UBT)、Ultra Australian Dollar(GDAY)という名称です。また、×3倍型としてはUltraPro S&P500(UPRO)があります。当該ETFは、S&P500指数の1日あたりの変動率の3倍の値動きを目指します。

続いてインバース型ETFを見てみましょう。Short Dow30(DOG)は、ダウ平均株価の1日あたりの変動率の-1倍の値動きを目指すETFです。UltraShort Dow30 (DXD)は-2倍型、またUltraPro Short Dow30(SDOW)は-3倍型のダウ平均インバースETFです。その他、欧州株式では-2倍型のUltraShort Europe(EPV)があります。あるいは、米国国債3-7年物、米国国債7-10年物のインバース型ETFもあります。通貨ETFではUltraShort Yen(YCS)が注目されるでしょう(-2倍型です)。当該ETFは、日本円の価値がUSドルに対して下落したときにその価値が上昇しますので、換言すると、円安ドル高にベットする金融ツールであるといえます。このような一見マニアックなETFでも、純資産額は約4.9億ドル、直近3ヶ月の1日あたりの売買高は440,000口程度あります。米国ではさまざまな国・地域、さまざまな資産でレバレッジ・インバース型がラインナップされており、ETFマーケットの奥深さを感じさせてくれます。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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