第47回 「米国REIT ETFの老舗です」 ETF解体新書

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第47回 「米国REIT ETFの老舗です」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。今日、米国では150本以上のREITが上場していますが、REITに投資を行うETFは2000年に初めて登場しました。その草分け的な存在が「iShares U.S. Real Estate ETF」(IYR)です。当該ETFは直近3ヶ月の1日あたりの出来高が900万口を超える人気ETFですが、このETFの特徴は3つあります。ひとつ目はREITだけでなく不動産株も含んでいる点です(具体的には不動産サービス、不動産開発を行う会社など)。二つ目は、組み入れるREITの業態が実に多様である点です。当該ETFの紹介ページを見ますと、ETFが組み入れるREITの業態とその割合が記載されています。専門不動産投資信託 28.69%、ホテル・宿泊施設不動産投資信託 5.08%、店舗用不動産投資信託 20.96%、不動産サービス 3.18%、工業・オフィス不動産投資信託 19.14%、不動産保有・開発 1.65%、各種不動産投信(REIT) 1.52%、住宅用不動産投資信託 12.71%、抵当不動産投資信託 6.89%など・・。実にさまざまな不動産が有価証券(REIT)として保有されているのが分かりますね。ただし、上記文中の「専門不動産投資信託」の意味合いが少し分かりづらいかもしれません。具体例を挙げてみましょう。当該ETFの組入れ第2位に「アメリカン・タワー」というREITがあります。このREITは米国国内において携帯電話の基地局用施設、ワイヤレス通信、および放送用タワーなどを所有しています(これなど、専門不動産投資信託の典型でしょう)。あるいは、組み入れ第3位の「パブリック・ストーレッジ」も同じく専門不動産投信に分類されます。当該REITはセルフサービスの倉庫施設であり、欧州においても事業を展開しています。さて、「iShares U.S. Real Estate ETF」の特徴の3つ目は、分配金利回りの高さです。当該ETFは年4回分配金を出しますが、直近(2013年12月)の分配金は0.58888ドルでした。2月3日(現地時間)の終値で見ますと、分配金利回りは約3.66%となります。また、当該ETFの紹介ページ内「分配金実績」を見ると、分配金は2009年09月28日に直近の最少額 0.39074ドルを記録し、また、直近の最高額は2006年12月27日の 1.08590ドルであることが分かります(各REITが組み入れる不動産の稼働率の違いから、ETFが払い出す分配金に大きな変動があることが分かります)。
米国市場に上場するIYRですが、実は昨年12月に国内市場にも上場を果たしました。これは「iShares U.S. Real Estate ETF」を『信託財産』として、JDRと呼ばれる有価証券を発行しそれを国内に上場させたものです(JDR形式と呼ばれます)。日本名は「i シェアーズ米国リート・不動産株ETF」(1590)です。米国上場のIYR1口分がJDRである1590 1口分に対応しています。1590の市場価格は円建て、分配金も円で払い出されますが、為替リスクを負うことに変わりはありません。今後、海外に上場する多くのETFがこのJDR形式で日本に上場する可能性が増しています。

『IYR・1590 概要』
http://jp.ishares.com/product_info/fund/overview/TKSE/IYR.htm
(ブラックロック・ジャパンのウェブサイトへ移動します)

『IYR・1590 分配金履歴』
http://jp.ishares.com/product_info/fund/distributions/TKSE/IYR.htm(ブラックロック・ジャパンのウェブサイトへ移動します)


コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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