マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。企業にとって配当とは株主に対する謝意です。もちろん株価が上昇することでも、企業は株主に報いることができますが、長く株式を保有してもらうには、よい配当を続けることが重要な戦略となります。「NASDAQ USディビデンド・アチーバーズ・セレクト・インデックス」は、10年以上連続して増配の実績を持つ米国株式で構成される指数です。そして、当該指数との連動を目指すのが、「バンガード米国増配株式ETF」(VIG)です。当ETFは2006年に米国市場に上場。分配金は四半期ごとで、年間の経費率は0.10%となっています。9月30日現在の組み入れ銘柄は180社。業種別の組み入れ比率は、「消費財」21.9%、「資本財」21.7%、「消費サービス」18.7%、「テクノロジー」13.0%、「ヘルスケア」10.8%、「金融」6.3%となっています。
参考:「バンガード米国増配株式ETF」(VIG)
生活者と密に繋がっている業種の割合が高くなっていますね。
当該ETFの分配金利回りは2.25%であり、特別に高いというわけではありません。増配と高配当は必ずしもイコールではなく、長く安定的に利益を出せる企業が増配を続けられるということでしょう。
次に、国内市場に上場する「NEXT NOTES S&P500 配当貴族(ネットリターン) ETN」(2044)をご紹介しましょう。当該ETNは、S&P500 配当貴族指数 (課税後配当込み)との連動を目指します。S&P500 配当貴族指数は、S&P500の構成銘柄のうち25年以上連続して増配している株式を対象としています。均等加重型の株価指数であることが特徴でしょう。これは各構成銘柄の比率が概ね同じであり、投資機会を平等に捉えているということです。当該指数の組み入れ企業には、ホーメルフーズ(加工肉)、マクドナルド(飲食)、
シスコ・コーポレーション(食品卸)、そしてシンシナティ・フィナンシャル(金融サービス)、クロロックス(日用品)などが名を連ねています。
参考:S&P500 配当貴族指数のファクトシート(10月30日現在)
ところで、2044はETNであるため、実際に個々の株式を組み入れているわけではありません。当該ETNの発行者、ノムラ・ヨーロッパ・ファイナンス・エヌ・ブイが、S&P500 配当貴族指数(課税後配当込み)との連動を約した債券を発行しており、ETNはその債券を保有します(ETNのNはNOTE(債券)のこと)。したがって、発行者の信用リスクを負うことになります。また、当該ETNが連動を目指すのは「課税後配当込み」の指数であるため、個々の企業の配当を再投資するのと同じ効用があります(2044はETNであるため分配金は出しません)。
最後に、日本取引所グループ、東京証券取引所、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが「S&P/JPX スマート・ベータ指数シリーズ」を開発する旨を発表しています。同指数シリーズには、「S&P/JPX 配当貴族指数」が含まれています。当該指数はTOPIX 構成銘柄の中で、過去10 年間継続して増配している銘柄で構成されます。もし、当該指数との連動を目指すETFが登場すれば、多くの投資家の関心を集めることでしょう。
コラム執筆:カン・チュンド
晋陽FPオフィス代表 http://www.sinyo-fp.com/
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。
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