第122回「ポートフォリオの道具としてのETF」 ETF解体新書

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第122回「ポートフォリオの道具としてのETF」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。今日の夕食について考える際、具体的な「おかず名」が頭に浮かびます(例:豚の生姜焼き)。しかし、実際夕食を摂る時は、主菜だけでなく、ご飯、味噌汁、海藻類、冷奴、サラダなど、バランスを考えて複数の品を準備するはずです。実は投資もまったく同じです。具体的な「ETF名」を頭に浮かべたとしても、それをどのように組み合わせるか(=ポートフォリオ)に投資の本質はあります。ただし、ポートフォリオといっても、そんなに難しく考える必要はありません。要は「運用の見取り図」(円グラフ)をイメージし、そこに道具としてのETFをはめ込めばよいわけです(※本日は国内上場ETFを想定して記述します)。
まず、見取り図を3つの要素に分けます。「低リスク資産」、「中リスク資産」、「高リスク資産」となります。低リスクは円建て債券、中リスクは外国債券、高リスク資産は株式、不動産、コモディティ等になります。低リスクの円建て債券は、残念ながら該当するETFがありません。MRF、預金、個人向け国債などで代用します。次に中リスク資産ですが、シティ世界国債インデックス(除く日本)との連動を目指す、「上場インデックスファンド海外債券毎月分配型」(1677)が選択可能です。また、新興国債券では「iシェアーズ 新興国債券ETF」(1362)があります。

高リスク資産の花形は「株式」です。世界の株式を「日本」+「先進国(除く日本)」+「新興国」に区分けすると、「トピックスETF」(1306)+「上場インデックスファンド海外先進国株式ETF」(1680)+「iシェアーズ エマージング株ETF」(1582)という組み合わせが可能です。仮に、3つの国・地域のGDP比率に従うなら、「日本(10%)」+「先進国(55%)」+「新興国(35%)」という組入れ比率が導けます。シンプルに、世界経済の成長を効率的に獲得しようという戦略です(新興国の次の市場である「フロンティア市場」に投資を行う、「iシェアーズ フロンティア株ETF」(1583)を若干加える手もあります)。
また、「株式部分」をシンプルに、「日本」+「全世界株式(除く日本)」と区分けし、トピックスETFと「上場インデックスファンド世界株式ETF」(1554)を組み合わせることも可能です。ポートフォリオの3つの要素のうち、低リスク資産と中リスク資産は「債券」です。仮に、債券:株式=40:60とし、かつ、円建て資産:外貨建て資産=26:74と規定すると、MRF(円建て資産)20%、先進国+新興国債券 20%、日本株式 6%、先進国株式 33%、新興国株式 21%というポートフォリオの骨格が導けます(株式部分はGDP比率による)。また、株式部分60%のうち、5~10%程度をREITのETF、金のETF、原油ETFなどに振り向ける選択肢もあるでしょう。
ポートフォリオ構築で重要なのは、低リスク、中リスク、高リスク資産の「基本組入れ比率」の決定です。各々の資産割合がずれてくれば、定期的に「リ・バランス」を行って組入れ比率を元に戻すメンテナンスが必要です。つまり、ETFはポートフォリオのパーツに過ぎないのです。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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