第38回 相場を牽引した主役プレーヤーを探る②~アジア中銀の動向【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第38回 相場を牽引した主役プレーヤーを探る②~アジア中銀の動向【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

先週、相場を牽引した主役プレーヤーを探ることで次の展開を予測することもできるとして、IMM通貨先物ポジションから投機筋のポジションがこの相場の主役となって円売りを仕掛けているのだとすれば、彼らが買戻しに動いた時がこの相場の一旦の終焉となる可能性もある、という内容のコラムを書きました。しかし、これもこの相場の主役が投機筋だったなら、です。他にこの相場を作り上げているプレーヤーがいるとするならば話はまた違ってきます。

仕事柄マーケット関係者の方とお話しする機会も度々あるのですが、先日耳にしたのが、この相場「アジアの中央銀行の円売り」も入っているのではないかという指摘。もしこれが事実ならば、ドル円相場は本格的に円安トレンドに入っているのかもしれません。というのはアジア中央銀行は投機筋のように短期的な値幅を取るようなポジションを取りません。積極的に利益を追求するために外貨買いするのではなく、どちらかというと価値の目減りを避けるためにシフトするといったオペレーションをするからです。

世界はこの景気後退局面で、自国通貨を安くすることで輸出競争力を高める政策を取っています。その最たる例が輸出倍増計画を掲げたアメリカですが、アメリカの取ってきたドル安政策に対抗して、ドル安のせいで自国通貨が高くなるのを防ぐためにアジア諸国の中央銀行は外為市場で自国通貨を売ってドル買い介入を実施しきました。日本も介入して円高を阻止する局面もありましたね。介入でドル買いし自国通貨を売るオペレーションを続けてきたことで中国、韓国、東南アジアなどの中銀はドルの持ち高が増加していきます。外貨準備にドルが増えていくのに、ドル安政策を取り続けてきたドルの価値は下がり続けていくわけですから、外貨準備は目減りしていってしまいます。そこで、中国、韓国、東南アジアなどのアジア中銀は、ドルから価値が下がらない円や豪ドルに持ち高をシフトしてきました。これが近年の豪ドル高、円高の大きな要因ともなっていたという側面もあります。「円はパーキング通貨」であった、というのは私の尊敬するディーラーの言葉ですが、ドルもユーロも信用できない中で、彼らは外貨準備高を取りあえずドルやユーロよりマシだとして円に換える作業を行ってきたのです。IMFによると、今年6月末時点で内訳が判明している外貨準備に占めるドルの割合は61.9%と、3月末の62.1%から縮小、一方で円の占める割合は3.8%で、3月末の3.6%から上昇しています。また世界最大の3兆2900億ドルの外貨準備を抱える中国は、円資産の保有を増加させており、8月に日本の短期債を過去最大となる8590億円買い越したほか、ロンドン経由でも対日証券投資を進めている。中国の対日証券投資残高は昨年1年間に7兆6873億円増加し、2011年末に21兆5233億円に達しました。

こうして円買いのポジションを積み上げてきたアジア中銀が、今回の野田・安倍ショック円安を機に、円にパーキングしていたポジションをひっくり返して売りに転じているというのです。つまり、円がこれまでのような安全資産ではなくなったと判断したということであり、また、これまで買っていたものを売ることで円安が進行しているのだとするならば、手仕舞いによる反転は起こらないということであり、今後考えられる円高圧力は極めて低いということになるのです。

これはまだ市場の噂にすぎず、この円安相場を作っている本当の主役が誰なのかは後になってみなければわかりません。短期筋による円売りの影響も大きいと思っています。しかし、短期筋が利食ってしまった後にも、相場が大きく水準を切り下げることがないのだとするならば、アジア中銀が円を信用できる資産として捉えていない、構造的に円は買われる通貨ではなくなったとみることができます。だとするならば、このドル円相場は本格的トレンドとなる可能性が高く、押し目を買って90円、100円を目指すことになるものと思っています。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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