マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
2008年のリーマン・ショックから5年が経過します。翌年2009年はFRBによる思い切った金融緩和策から株式相場も為替相場も大きなリバウンド相場となったことで、2010年年明けは「米国の出口戦略、利上げをいつ本格的に織り込むか」が論じられていました。しかし結局は2010年11月にQE2に踏み切らざるを得ない状況に。2011年もまた、QE2効果で確り動き始めた米国市場を見て再びの早期引き締め議論があったのですがその期待は裏切られる結果になっています。リーマン・ショック以降毎年思うのですが、年初明るいムードで始まった年が1年間そのまま明るいムードで終わることがありません。実際米国の量的緩和政策は引き締められるどころか、とうとう失業率6.5%達成まで継続と無期限で継続するというところまで拡大されているのです。
そして今年2013年も、昨年末2012年のFOMC議事録で複数のメンバーが量的緩和策第3弾(いわゆるQE3)の2013年末より早い段階での規模縮小あるいは停止を主張していることが判明し「出口論議」が飛び出すところからのスタートとなりました。米株ダウ平均は史上最高値目前、欧州のテールリスクも取り払われ、中国景気も底入れのムード、何より日本市場はアベノミクスに湧いている...。この明るさが年内持続し続けるだろうか。リーマン・ショック以降の経験則からどうしても懐疑的な気持ちになるのも解らないではありません。財政の崖問題も先送りされたに過ぎず、3月には3月1日から国防費などの強制削減が発動しますし、4月15日までに2014会計年度予算(13年10月~14年9月)の債務上限などを規定する予算の大枠「予算決議」を通さなくてはなりませんし、債務上限問題は5月19日に先送りされただけですし・・・。
しかし、流れに乗るのが投資の鉄則。ひょっとしたら、財政の崖問題の再燃で、行き過ぎた相場の修正が起こるかもしれませんし、今はすっかり落ち着いたように見える欧州からのリスクが再燃するかもしれませんが、それを恐れてリスク資産を買うことが出来ないでいるのは大きな機会の損失です。特に2007年の124円から5年も継続したドル/円の円高が大底を入れたのだとすれば、この円安は数年は継続するトレンドとなります。この大きな流れに乗らずにいつ相場に乗るのでしょう。リーマン・ショックから5年、常に市場はテールリスクを恐れて大きなトレンドを作れずにいましたが、世界の中央銀行は無期限、無制限だと出来る限りの政策でリーマン級のリスクが再燃するのを阻止してきました。つまり今、懸念されるリスクは全てテーブルの上に乗せられたもので、テールリスク(見えないリスク)ではなくなっているのです。
また今、起こっているのは昨年までのテールリスクが山積していた脆弱な相場の時に積極的に買われた通貨が売られるという「逆流現象」。現在のようなリスクオン相場で積極的に買われた豪ドルが現在弱いのも、昨年売り込まれたユーロが上がっているのもこのためです。ユーロ/オージーのチャートを見るとユーロを売って豪ドルを買っていたポジションが巻き戻され、ユーロ高、豪ドル安となっていることが確認できます。それでも豪ドル/円が強く豪ドルが強く見えるのは、豪ドルが売られるよりも凄まじい勢いで円が売られているということなのです。リスク回避時に買われたものが売られ始めた―。積極的にリスクを取る相場に入りました。そしてそれはこれがこの先数年続くとするならばまだまだ初動です。リスクを恐れて乗らないのではなく、リスクが訪れたらその時には利食えばいいのです。2013年はこうした思考の改革が必要な年なのではないかと感じています。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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