第212回 地下鉄乗車時のマナー 【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第212回 地下鉄乗車時のマナー 【北京駐在員事務所から】

先日、上海市で地下鉄の車内で折畳みテーブルを用いて飲食を行った外国人4名が警察に逮捕されたそうです。
市が定めた地下鉄乗車時のルールでは、飲食は明確には禁止されてはいないのですが、今回、警察は彼らの行為が他の乗客の迷惑となり、また列車の運行にも影響が生じたとして、厳しい措置を講じました。

2014年に施行された規則では、乗客の禁止行為として列車進行の妨害、禁止区域への立入りや列車内及び駅構内での喫煙など11種類が定められており、違反者には50元(約800円)から500元(約8,000円)の罰金が科せられます。
11種類以外の行為でも、公衆の安全と秩序を乱すものについては、処罰の対象とされています。
また、飲食については、禁止行為とはされていないものの、他の乗客の迷惑とならぬために自粛を求めるとされています。日本の鉄道で、「携帯電話での通話はご遠慮ください」とされているのと同様です。

今回の外国人による飲食は、SNSへの動画投稿で一挙に広まり、ネット上では「ばかげた行為であり、模倣者を出さないためにも厳罰に処すべき」との厳しい意見が大勢でした。また、「外国人であっても中国の法令、規則に従い中国人と同等の処遇を受けるべき」との意見も目立ったそうです。
昨年5月には、南部の広州市の地下鉄車内で、飲酒の上にピーナッツやゆで卵を食べ散らかしたとして、乗客2名が5日間拘留される事件もありました。何事も限度を超えてはいけないということでしょう。

中国で不思議に思う点は、所得や物価の水準を反映しているのでしょうか、上述のような違反行為に対する罰金が、交通違反などとあわせ、総じて軽いように思われることです。
再犯防止のための抑止力として機能しているのかどうか、疑問にも思えます。ただ、罰金を重くするためには、他の刑罰とのバランスも考慮せねばならず、変更は容易でないのでしょう。

私も毎日地下鉄で通勤しておりますが、車内マナーについては日本との違いを感じます。
携帯電話での通話は可で、また音声を流しながら動画を見る乗客もおり、総じて音には寛容です。
さすがにラッシュ時には見かけませんが、最も驚かされるのは、ラジカセで大音量の音楽を流しながら車内を移動する物乞いです。
一方、車内での飲食はほとんど目にしません。こちらではスナック類などでも匂いの強いものがあり、周囲への配慮があるのではないかと考えています。
車内の雰囲気は日本と大差なく、危険を感じることはないのですが、スリなどの犯罪は頻発しているそうです。当然ながら携行品には注意が必要です。

日本でも、車内での携帯電話や飲食、さらにはベビーカーの持込みなど、鉄道乗車時のマナーについては様々な議論があり、事業者が定めるルールも少しずつ変更されています。
帰国時に鉄道を利用するたびに、車内が静かなことに驚かされます。
自分の中で、北京の地下鉄が基準になってしまっているのを感じます。
ルール、マナーも社会の合意の上に成り立つものですので、時代により変遷していくのでしょうが、利用者が皆納得し、順守できるものであって欲しいと思います。

地下鉄利用時のルール、マナーから日中両国のお国柄が垣間見える話題でした。=====================================

コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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