マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
日本で鉄道の旅と言えば、楽しみの一つに各地の特色ある「駅弁」があります。一方、中国では近年新幹線(高速鉄道)の新線開通が続き、年内には東北部のハルビン(黒竜江省)から香港にほど近い広州(広東省)まで、新幹線網がつながる予定なのですが、車内での飲食のサービスについては、特徴の無い弁当ばかりで、値段が高くまずいと散々の評判です。
全国の鉄道事業を一手に担う中国鉄路総公司(中鉄)は、複数の業者にサービスを競わせる、あるいは割安な価格での飲食物の提供を義務付ける等、対策を講じていますが、一度広まってしまった悪評を払拭することはなかなか難しいのが現状です。
このほど、中鉄は、一部の高速列車の乗客を対象に、同社の予約サイト上で飲食メニューの事前予約を受け付けるサービスを開始しました。
指定された停車駅で、構内で営業する会社が提供する弁当や、パートナー企業(ケンタッキーフライドチキンなど)の商品を受け取れるそうです。
当面は、上海、天津、広州など24の大都市にある27の駅でサービスを始め、乗客の反応を見ながらさらに広げる計画です。
中鉄の広報担当者は、多様化する乗客のニーズに応え、より多くの業者が広範なメニューを提供することで、より豊かで良質のサービスを実現すると述べています。
商品の価格と配達料は各業者が定め、指定の列車に搬入した後は、中鉄の列車乗務員が乗客の席に届けます。
価格と配達料は、一般の店舗で配達を依頼した場合と同程度の水準になっています。イメージとしては、日本で花見の席にピザのデリバリーを頼むのと同じような感覚です。
中鉄では、同社が承認した業者のみをウェブサイト及びアプリに掲載するとしていますが、近年中国では出前のサービスが急速に普及しており、遠からず多くの業者が参入して、乗客が多彩なメニューから選択できることになりそうです。
乗車券をネットで予約した乗客は、ウェブサイト上で、予約後に「食事を注文しますか?」と尋ねられ、注文する場合には必要な情報を入力します。
また、電話で、または窓口で乗車券を購入した乗客は、ウェブサイト上で乗車券の番号を入力すると、食事の注文の画面に遷移します。
一部の列車及び駅では、「2時間前までの予約」を受け付けるとのことで、乗車後に注文し、途中の停車駅で受け取ることもできます。なかなか便利と言えます。
事前予約サービスの充実で、中国の鉄道の旅の楽しさが増すことになるか、今後が注目されます。
日本では、「中華料理」と一括りにされてしまいますが、広い中国では、地域により食材も、また味付けもさまざまです。
主食だけを見ても、南方では米や米から作られるビーフンなどが多く食される一方、北に行くほど麺類やマントウ(日本の肉まんや、あんまんの外側の皮の部分になります)など、小麦が多く食されます。北部出身者の中には、「米飯はほとんど食べない」という人も少なくありません。
また、北京など北部では羊肉が多く食され、大変美味しいのですが、南部出身者などには「羊は食べない」という人も多いです。
日本を訪れる中国人観光客も、日本食に積極的に挑戦する人と、「食事は専ら中華で」という人に分かれると聞きます。旅先の食事を楽しまないのは勿体ないような気もしますが、それだけ「幼少の頃から慣れ親しんだ味」の影響が強いということなのでしょう。
日本食に食指が動かないという人にも、ラーメンだけは好評と聞きます。是非、ラーメンを足掛かりに、いろいろな料理にトライして欲しいと思います。
鉄道グルメを巡る事情に、中国ならではという要素が垣間見える話題でした。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長
マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト
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