マーケットリスクは本当のリスクではない!?

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

マーケットリスクは本当のリスクではない!?

マーケットが大きく変動した2001年最後の数ヶ月間で、米国株式への投資をやめた人達が結構いたようです。米国投資会社協会(ICI)によると、昨年の9月から11月に、株式ファンドからリスクの低い金融商品に正味140億ドル(約1兆8千億円)が流出しました。

「投資リスクを減らすために、より安全な運用商品を選ぶ。」これは一見当たり前に思えるかもしれません。でもここには「リスクの低い投資は長い目でみると健全な資産形成を阻害する可能性がある」というパラドックス(逆説)があります。そう、本当のリスクとは、将来貯えなければならない資産目標額を達成できないことをいうのです。このリスクのことを「ショートフォール(不足)・リスク」と言います。

長期の資産目標額を達成するためには、投資資金のかなりの部分を株式に投資する必要があるといわれています。日本ではバブル期以降、株式からの損失が非常に大きなものであったことは事実ですが、長い目で見れば株式のリターンが債券のそれを上回るという過去の経験則は、日本においてもあてはまると考えるべきです。

ここで、不足リスクについて検証してみます。100万ドル(約1億3千万円)の資産があるけれど今後の収入はなく、毎年の生活費として4万ドル(約520万円、インフレ調整後)を消費する米国人がいるとします。次の3つの資産配分パターン-(1)100%米国債券、(2)50%米国株式・50%米国債券、(3)100%米国株式-で投資を行ったとき、その資産が40年先までもつかどうか米国の過去のデータをもとに測定してみました。(紙面スペースの関係上、詳しい計算方法はここでは省かせて下さい。)

結果は、全部債券に投資した(1)のケースでは短期的な損失に対しては最もリスクが低いのですが、不足リスクは最も高くなり、最後まで資金がもつ確率は12%しかありませんでした。それに対して、株式と債券に同じだけ投資した(2)は、短期的にはより高いリスクを負いますが、56%の確率で40年後まで資金が残ります。全部株式に投資した(3)は不足リスクが最も低く、68%の割合で当初の投資家のニーズを満たしました。ただ現実的には全部株式で運用する不屈の精神力を持つ人はいないでしょうし、これから先の40年間で株式のリターンが本当に一番高くなるという保証もありません。結局、運用資産をバランス良く分散することが、長期の資産形成にとって効果的な方法だと思います。

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