金利上昇は債券投資家にとって悪いこと?

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

金利上昇は債券投資家にとって悪いこと?

 国内変動利付債や毎月分配債券ファンドなど、株式投資には馴染みがないけれど、債券投資はしているという方は結構多いと思います。ところが、そのような方でも金利と債券の関係をきちんと理解している人は意外と少ないのです。たとえば、「金利上昇は債券投資家にとっては絶対的な悪影響」と単純に理解している人もいるのではないでしょうか。

 今年最後になるこのコラムで、債券と金利の関係について、もう一度整理をしてみましょう。

 一般的に、金利の上昇は、債券投資家にとって歓迎されない傾向にあります。しかし、インカム収入を堅実に再投資している場合や、新たに債券に投資する場合は、金利の上昇はプラスに働きます。金利の変動は、短期的には債券価格(あるいは債券ファンドの基準価格)に非常に大きな影響を与えます。しかし、長期的に見れば債券や債券ファンドのインカム収入を高い利回りで再投資できるため、投資元本の下落を補うことができるのです。

 ここで、金利が債券ファンドに与える影響を3つのパターンで整理してみましょう。

1. 金利の変動が全くない場合
 債券ファンドの保有期間を通して金利の変動がなかった場合(ありそうもない話ですが)、保有期間が1年でも10年でも、債券ファンドのトータル・リターンは変わりません。

2. 金利が下落した場合
 金利が下落すると、債券価格は上昇します。インカム収入と、債券価格の上昇で、1年目のファンドのトータル・リターンも上昇するでしょう。しかし、その後、債券ファンドのインカム収入が、以前より低い利回りで再投資されるため、2年目以降のトータル・リターンは下がる傾向にあります。

3. 金利が上昇した場合
 金利が上昇すると、債券価格は下落します。その影響で債券ファンドのトータル・リターンも落ちるでしょう。しかし、インカム収入を利回り水準の高い債券に再投資できるので、その後のリターンは上昇していき、将来的に金利が変動しない場合と、下落した場合を上回る可能性もあります。

 上記の例から、金利の上昇は長期の債券ファンドの投資家にとっては必ずしも悪いニュースではないということがおわかりになったと思います。

 それでは、2005年もよろしくお願い致します。

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