世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)
賢明な投資家は、株式、債券、短期金融商品からなるポートフォリオの適切な配分比率を維持することが投資の成功の基本であることを知っています。また、彼らは定期的にポートフォリオを見直して、リバランス(配分比率の修正)をすることの重要性も認識しています。なぜなら、市場環境の変化を受けてポートフォリオの資産配分が目標とする配分比率から少しずつ逸れてしまう可能性があるからです。
残念なことにこのような投資の基本は、1990年代の後半においては多くの投資家から忘れられていました。当時、投資家のポートフォリオは成長株やテクノロジー関連株が大部分を占め、結果、当初定めた配分比率から大きく逸れていました。こうした投資家は、2000年初めに株式市場が暴落し保有資産が大幅に目減りした時に、苦い経験をすることになったのです。
「当時、定期的にポートフォリオのリバランスを行っていた投資家は、下げ相場の影響を幾分緩和することができたでしょう」(バンガード投資カウンセリング&リサーチのアナリスト、イェシム・トカト氏)「投資家はリスクコントロールのためにあらかじめリバランシングの方針を決めておき、それに従うようにすることをお勧めします」
リバランシングのポイント
リバランシングの方針は、あなた自身のポートフォリオの特性によって決まります。「投資目標と資産配分が似ている2人の投資家が、そのリスク許容度の違いから、異なったリバランスの方針を定めていることも十分にありえるのです」(トカト氏)以下、リバランシングのポイントをいくつかあげてみましょう。
資産クラス間のリターンの相関
ポートフォリオ内の異なる資産クラスのリターンの動きに、高い相関がある場合(つまり同じような動きをする場合)、当初の配分目標から大きく逸れてしまう可能性は低いでしょう。おそらくリバランスもそれほど頻繁に必要ではないかもしれません。一方、資産クラス間のリターンの相関が低い場合、リバランスの必要性は高くなります。
期待リターン
各資産クラスのリターンに幅がある場合(つまり良い時と悪い時のブレが大きい場合)、ポートフォリオの配分比率は目標から逸れやすく、従って頻繁なリバランスが必要になるでしょう。
投資予定期間
投資予定期間が長ければ長いほど、ポートフォリオは目標とする資産配分から少しずつですが逸れてしまう可能性があります。
コストの重要性を忘れないでください
「売買手数料や払い戻し手数料、税金などのコストを最小限に抑えることは、リバランスに際して非常に重要なポイントとなります。」(トカト氏)リバランスを頻繁にしすぎると、リターンを過度に目減りさせることにもなりかねません。株式と債券に幅広く分散されたポートフォリオを維持するためには、一年もしくは半年に一度程度の見直しが適当でしょう。一般に、目標の比率から5パーセント以上逸れていたら、配分比率をリバランスする必要があると言われています。
リバランスの別の方法として、受け取った分配金や配当金を配分比率の低い資産への投資資金にする方法も考えられます。
「投資家は自分自身の投資目標に最も適したリバランスの方針を決める必要があるのです」(トカト氏)
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