世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)
昨年のある米国株式ファンドのリターンが8%だったとします。それを見ていいリターンだなあ、と思われるかもしれません。しかし、そのファンドが米国の「大型」株式ファンドだとしたら、昨年のS&P500インデックス(大型株の一般的なベンチマーク・インデックス)のリターンが約16%だったことを考えると、8%のリターンというのもそれほど良くはないかもしれません。
ファンドの過去のリターンだけを見て、そのファンドのパフォーマンスの良し悪しを言うことはできません。なぜなら、ファンドのトータル・リターンは、それに対応したベンチマーク・インデックスを選び、測定期間が同一のリターンと比較すべきだからです。
●ベンチマークとは?
一般に米国では、ファンドのパフォーマンスを測定する目的で、「市場インデックス」と「ピア・グループ平均(同種の商品性格を持つファンドグループの中での平均値)」の二種類のベンチマークが用いられます。
市場インデックスは市場の特定セグメントのトータル・リターンを反映します。例えばS&P500インデックスは500種の米国「大型」株式で構成されています。
ピア・グループ平均は、類似した投資目標と投資方針を持つファンド群のリターン平均を測定します。例えばリッパー社の「大型成長株」平均は、大型成長株ファンド群のパフォーマンスの動きを表わします。リッパー社とモーニングスター社はピア・グループ平均の代表的なデータ提供者です。
ベンチマークはファンドのタイプによって異なります。ファンドの目論見書や運用報告書を見れば、そのファンドに適した市場インデックスやピア・グループ平均がわかります。
●では、そのベンチマークをどう使用するか?
ベンチマーク・インデックスとファンドを比較することによって、ファンドのパフォーマンスやボラディリティを計ることができます。
ファンドのパフォーマンスを評価するには、目論見書にあるベンチマークの同一期間のトータル・リターンと比較してください。常に「りんご」と「りんご」を比較していることを確かめましょう。
一方、ファンドの潜在的なリスクを測定するためには、そのベンチマーク・インデックスの10年間程度のパフォーマンスを検討する必要があります。ファンド・パフォーマンスの「ブレ」の概算値を得るために、年間の最高リターンと最低リターンを比較してみるのも良いでしょう。
ファンドのリターンはベンチマーク・インデックスのリターンを上回る(あるいは下回る)ことがあります。例えば、あるファンドが資産の40%を石油産業に投資しているとします。ベンチマークの石油産業への配分比率がファンドよりも低い場合、石油産業銘柄が下落すると、ファンドのほうがその影響を大きく受けるかもしれません。
●パフォーマンスに関するいくつかの注意点
インデックス・ファンドは特定の市場インデックスの動きを模倣します。一方、一般的に、アクティブファンドは特定のベンチマーク・インデックスを上回ることを目指します。
よく言われることですが、ファンドの過去のパフォーマンスは将来の結果を予測する指標とはなりません。パフォーマンスはファンドを評価する要因の一つにすぎないのです。ファンドを選ぶ際は、手数料や税金とともに、そのファンドが自分の投資目標、リスク許容度、投資予定期間に合っているかどうかを検討する必要があるでしょう。
また、ベンチマーク・インデックスに直接投資することはできず、インデックスのパフォーマンスはいかなる特定の投資を表わすものではないことにも注意が必要です。
マネックスからのご留意事項
「バンガード・海外投資事情」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。