不安定な市場でやってはいけないこと

世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)

不安定な市場でやってはいけないこと

 不安定な株式市場が続いているとき、投資家である自分の心は決して穏やかではありません。そのようなときは、ちょっとした市場の悪いニュースを耳にしただけで、自分の保有している株や債券、または投資信託をどうしたらよいかとても悩んでしまうのです。

 米国バンガード・グループのファイナンシャル・プランナー、ジョーゼフW. ワーテルロー氏は、市場が変動している時やってはいけないこととして次の5つをあげています。

1.マーケット・タイミングを読む
 どの資産クラスに、どの時点で投資すれば最もよい成績を生むのかを予め予測することはできません。マーケットのタイミングを計る投資家は、購入と売却の両方のタイミングを読まなくてはならず、これは非常に難しいことです。
2.過去の運用成績を追う
 過去の運用成績ばかりに目がいく投資家が成功することはごく稀です。これらの投資家は、高いときに買い、安いときに売る結果になることが多いのです。これでは長期的な成功を得ることは難しいでしょう。

3.あきらめることができない
 自分の投資プランを守ることは重要です。でもそれは適切なポートフォリオを持っている場合に限っていえることです。流行のファンドや市場に投資し過ぎて、自分の投資プランが大きく崩れてしまっていたら、損失覚悟でバランスのとれたポートフォリオに早く戻すことが最良の策です。

4.衝動買いをする
 情報テクノロジーの発展のおかげで、世界中のニュースが瞬時に私たちの元に届くようになりました。それとともに膨大な量の投資情報がまるでシャワーのように頭から降りかかってきます。そして多くの投資家がこれに反応し、売買に走ってしまいます。でも大切なことは長期的な目標をもち、このような雑音には聞く耳を持たないことです。

5.頻繁にポートフォリオをチェックする
 新しいテクノロジーが利用可能になり、各自の金融商品のパフォーマンスを電話やオンラインで毎日簡単にチェックすることができるようになりました。でも頻繁にチェックしすぎると、ついポートフォリオに手を加えてしまいたくなりがちです。大きな目標を見失わないように、長期的なアプローチを心がけてください。

 長期投資にとって最も大切なことは、マーケットのタイミングを読むことでも特別な投資信託を選ぶことでもありません。適切な資産配分を行い、それを維持することです。たしかに自分のポートフォリオは定期的に見直しをする必要があります。でもそれは投資プランそのものを大きく変更させるということではありません。
 市場や世界で突発的な出来事が起るたび、感情的にそれらに反応するのではなく、自分の取れるリスクに応じて冷静に判断し、できる限りシンプルなポートフォリオを維持していくことを心がけてください。

 「投資プランを守る」という投資の大原則を忘れてはいけません。

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