世界最大級の運用資産規模を誇る投資信託会社、バンガードがお届けする運用コラム。世界経済を大局的にとらえ、正しい運用のあり方を示唆します。(現在は更新しておりません)
マイホームを維持、管理するためには、相当な時間とお金、そして労力が必要です。定期的なメンテナンスから大掛かりな改修工事まで、マイホームのオーナーは長い目で見て家の資産価値を最大限に維持するために、老朽化を防ぐ必要な手立てを講じます。
一方、資産ポートフォリオはどうでしょうか。マイホームと同じように、「天候」の移り変わりに耐えなければなりません。最近の米国では、原油価格と金利の急上昇、住宅市場の不振、毎日のように新聞の見出しを賑わす政治問題など、懸念材料も多く見られます。しかし、冷静な投資家はこれらの出来事にその都度反応するのではなく、1年に1、2回の割合でポートフォリオの見直しを行うことが効果的であることを知っています。
● バランスを保つこと
ポートフォリオのメンテナンスの主な目的は、当初目標とした資産配分に戻すために、ポートフォリオの株と債券の割合をリバランスする(配分比率の修正をする)ことです。資産配分をするためには、投資予定期間と投資目標、リスク許容度を考慮しなくてはなりません。それには、株、債券、短期金融商品のリスクとリターンの特性を理解していることが不可欠です。
「これまでにも株式市場は、年間で20%以上下落したことが幾度もあります」(バンガード投資カウンセリング&リサーチ、アナリスト、スコット・ドナルドソン氏)「金融市場とは本来そういうもので、さらに特定のセクターに集中して投資すればリスクはもっと高くなるでしょう。こうしたことを理解していない投資家は、市場の下落に耐えられないかもしれません」
ポートフォリオの資産配分は一回だけで終わりではありません。株式市場や債券市場のリターンは時間の経過とともに変化していきます。最初にポートフォリオの資産を分散するのもこのためです。5年か10年の間に株式の配分比率は当初の目標よりはるかに増えているかもしれません。見直しをせず、放置されたポートフォリオはリターンのボラティリティが予想以上に高くなっている危険性があります。
● いつリバランスをすればいい?
年に一回はポートフォリオの見直しをして、株式や債券の割合が目標の比率から5%以上逸れていたら配分比率をリバランスするとよいでしょう。例えば、当初の株式と債券の配分が60%・40%だとしたら、その比率が65%・35%以上になったら、株式を売却して債券の比率を増やし、配分を元に戻すことを考えてみましょう。
「リバランシングとは“勝っている(パフォーマンスの良い)資産を売り、負けている(パフォーマンスの悪い)資産を買う”という、投資家が不合理と感じる投資行動をすることです。そして、多くの投資家はそれにためらいがあります」(ドナルドソン氏)
しかし、リバランシングは“安く買って高く売る”という投資の基本原理の一つに基づいています。多くの投資家がパフォーマンスの悪いファンドを売却してパフォーマンスのよいファンドを買い、後で後悔します。定期的にリバランスを行うことで、この罠を避けることができるのです。
もちろん、“勝者”を売ることだけがリバランスではありません。ボーナスや利息、配当金をパフォーマンスの悪い資産に投資し、よいパフォーマンスの資産から資金を移動することもできます。
● バランス・ファンドに投資する
こうした作業が面倒だと感じられる方は、バランス型ファンドやライフサイクルファンドに投資するのも一案でしょう。これらのファンドは、自分に合った資産配分の投資商品を選べば、その後の維持管理はファンドマネージャーに任せておけるからです。
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