DeepMacro FXストラテジー

チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、米国のリサーチ会社DeepMacro社の通貨モデルに基づき、為替の見通しをお伝えします。

広木 隆が投資戦略の考え方となる礎を執筆しているコラム広木隆の「新潮流」はこちらでお読みいただけます。

広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)

ユーロを大きくショートに ドルも円もロング

DeepMacro

FX-1 STRATEGY Current Portfolio as of 29 Oct 2018

「+」の符号はその通貨のロング(買い持ち)を、「-」の符号はショート(売り持ち)を示す

現在のポートフォリオ
(Oct 29)
豪ドル
AUD
ユーロ
EUR
英ポンド
GBP
NZドル
NZD
カナダドル
CAD
スイスフラン
CH
日本円
JPY
ノルウェークローネ
NOK
スウェーデンクローナ
SEK
成長要因 +3.5 -15.4 -17.7 -13.7 +7.2 -10.6 +23.3 -0.5 +8.2
キャリー 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
バリュエーション -1.4 -16.2 +13.0 -6.6 -6.1 -18.2 +6.1 +14.2 +18.2
グローバル・リスク 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
ポジション調整 -0.8 +11.6 +1.7 +7.5 -0.4 +10.6 -10.8 -5.0 -9.7
最終ウェイト +1.3 -20.0 -3.0 -12.9 +0.7 -18.2 +18.6 +8.6 +16.7

ネットUSD(米ドル)ウエイト:+8.1

前回のポートフォリオ 豪ドル
AUD
ユーロ
EUR
英ポンド
GBP
NZドル
NZD
カナダドル
CAD
スイスフラン
CH
日本円
JPY
ノルウェークローネ
NOK
スウェーデンクローナ
SEK
成長要因 +3.7 +16.5 -1.7 -19.6 -5.8 -22.4 +20.2 +4.2 +5.8
キャリー 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
バリュエーション -1.4 -16.3 +13.2 -6.6 -6.0 -18.1 +6.0 +18.1 +14.1
グローバル・リスク 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
ポジション調整 -0.9 -0.1 -4.3 +10.0 +4.5 +15.4 -10.0 -8.5 -7.5
最終ウェイト +1.4 +0.1 +7.1 -16.3 -7.4 -25.2 +16.3 +13.9 +12.3

ネットUSD(米ドル)ウエイト:-2.3

表の見方について広木が動画(約12分)で解説しています。

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PORTFOLIO OVERVIEW(29 Oct 2018)

今週のポートフォリオの最大の変化は、ユーロを相当程度のショートにしたことである。先週ユーロは、グロースファクターがプラス成長に持ち直しバリュエーションの割高さを相殺したため、いったんはニュートラルまで戻した。しかし、ユーロのグロースは再び悪化してしまった。現在はユーロが最大のショートである。同様に、英国のグロースも悪化し、グロースファクターだけを見ればG10通貨のなかで最悪である。しかし、バリュエーションがそれを相殺するくらい割安なので、小幅なショートにとどまっている。一方、スイスはバリュエーションが若干改善、ショート幅が縮小した。
ドルがネット・ロングポジションに浮上した。グロースの改善が寄与した。カナダも同様でニュートラルに近いロングに転換。円が最大のロング通貨である。

我々は、グロースの差異が通貨選択の基本テーマであると考えている。しかし一方でまた、足元のボラティリティがこれほど激しいなか、通貨がファンダメンタルズ通りに取引されていることは幾分驚くべきことである。今年の初めに見られたリスク水準をまだ上回っていないことを考えると、まだこのテーマをあきらめることはないと思われる。

DeepMacro

ショート側はグロースの改善によりカナダドルのショートを削減する一方、スイスはグロースが大幅に悪化、ショートを積みました。これらのとおり、互いに相殺するような動きとなったことで、ドルのネット・ポジションほぼ変わらず、小幅なショートのままである。

DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルの説明

概要

DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルは、DeepMacro 社のグローバル・マクロ・システムに基づき、G10通貨についてシステマティックなポートフォリオ戦略を提供するものです。通貨の変動を説明する様々な要因を捉え、DeepMacro 社のリサーチ・システムの膨大なデータを、流動性が高く割安なポートフォリオに変換します。

キーファクター:

成長要因:

強い景気サイクルにある通貨を買い、弱い景気サイクルにある通貨を売ります。この判断は別のモデル体系であるDeepMacro 社の「Growth Factor」に基づきます。「Growth Factor」は主要国のビッグデータを含む経済成長に関するリアルタイム・インディケーターです。

キャリー:

高いキャリーの通貨を買い、低いキャリーの通貨を売ります。しかし、高キャリーは高リスクでもあります。したがって、リスクに見合うだけのキャリーが得られる場合のみ、このファクターによる投資判断を行います。

バリュエーション:

割安な通貨を買い、割高な通貨を売ります。経済理論では、高い生産性の伸び、高い輸出価格、大きな経常黒字の通貨は高くなることが示されています。このモデルのバリュエーション・ファクターはこれらの要因にもとづき割高・割安の判断をおこないます。

グローバル・リスク:

投資家のリスク回避姿勢が強まった時には、いわゆる「セイフ・ヘイブン(安全な寄港地)」通貨を買います。DeepMacro社では金融市場の価格に基づいて市場のリスク選好度を見積もっており、「グローバル・リスク・インディケーター(GRI)」を算出しています。GRIが点灯した場合、モデルは日本円、スイスフラン、米ドルなどへの買いを指示します。

ポジション調整:

モデルは対米ドルで9通貨のポジションを表示します。モデルは各通貨への集中度制限などリスク管理のルールを適用し、最適化を行った結果としてポートフォリオを構築します。

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