Vol.17 外債投資における通貨分散効果

グローバルな資産運用、リスク管理および投資顧問サービスを提供している資産運用会社、ブラックロックが、その運用手法をつまびらかにします。(現在は更新しておりません)

Vol.17 外債投資における通貨分散効果

 今回は、ブラックロック・US・ユーロ債券ファンドの通貨分散効果についてお話します。

 第4回でもお話しましたが、ブラックロック・US・ユーロ債券ファンドでは、米国ドルとユーロにそれぞれ50%程度投資することで、為替リスクの分散を行っています。
 なぜ米国ドルとユーロに限定しているかというと、「米国ドルとユーロ」は世界で最も規模が大きく、かつ信頼性のある通貨であるからです。さらに、米国とユーロ圏の景気サイクルや金融政策などの違いから円に対する両通貨の動きも変わると考えられますので、リスク分散効果が期待できるからです。
 このファンドがスタートした昨年の5月31日時点の為替を見ますと、1ドルは121.73円で、1ユーロは163.79円でした。その後米国のサブプライムローン問題に端を発した信用収縮に伴う米国経済の後退懸念を背景にドル安が進行し、2008年1月31日には、1ドルが106.44円、1ユーロは158.03円となりました。 昨年の5月31日から本年1月31日までの8ヶ月間の為替の動きを騰落率で見ると、ドルは円に対して12.56%、ユーロは円に対して3.42%と、それぞれ下落したことになります。
 実際、米国のサブプライムローン問題が起こってからの米国とユーロ圏とは景況感や金融政策も違ってきていますので、円に対する両通貨の動きも変わっており、この期間において円からドルとユーロに投資した場合、ユーロの方が円に対する下落率という点ではドルより小さかったことになります。

 上述のようにこの8ヶ月間に円は、1ドルが121.73円から106.44円へ、1ユーロが163.79円から158.03円へ、それぞれ円が強く(円高)なりましたので、一般的には為替変動リスクをヘッジしていない外債投資の場合には、少なくとも為替においては損が発生したことになります。
 一方、サブプライムローン問題における信用収縮によって、低格付けの債券の利回りは上昇(価格は下落)しましたが、格付けの高い債券は利回りが低下したことで価格が上昇する銘柄が多かったのも事実です。

 これをブラックロック・US・ユーロ債券ファンドに当てはめてみますと、上述したように、このファンドはドルとユーロに50%程度ずつ投資していますので、為替の影響度は概算、(-12.56%×50%)+(-3.42%×50%)≒-7.99%ということになり、ドルにだけ投資した場合と比較して為替変動リスクに関しての分散効果が得られたと考えられます。そして、このファンドの昨年5月31日の設定から本年1月31日までの収益率を分析してみますと、同期間においてドルは12.56%下落していますが、ドル建て債券への投資については債券価格の上昇が寄与したことで円ベースでは-5.83%とマイナス幅が縮小しており、これにユーロ建てファンドへの通貨分散の効果が加わり、ファンド全体の基準価額は-3.14%(過去の実績であり将来の成果等を保証するものではありません)のマイナスに止まっています。

 このように外債投資には為替変動リスクがありますが、外債投資の収益を評価する場合には、為替変動に伴う損益に加え、その間のクーポン収入や価格の騰落も考慮する必要があります。したがって、途中で売却した場合には金利変動に伴う価格変動リスクや為替変動リスクを負うことになりますが、一方、償還まで保有した場合には保有期間のクーポン収入と為替変動に伴う損益によってトータル収益が決まることになります。

 次回は、サブプライムローン問題と信用リスクについてお話します。

※「ブラックロック・US・ユーロ債券ファンド」はマネックス証券でお申込みいただけます。
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/syohin/tousin/kihon/guest?MeigCd=++0035070000
投資信託をお申込みの際には、「目論見書」にて詳細をご確認ください。
・・「ブラックロック・US・ユーロ債券ファンド」に関する重要事項・・・・
□リスク
・ ファンドの基準価額は、組入れられている有価証券の値動きの他、為替変動 による影響を受けます。したがってファンドの投資目的が確実に達成される ものではなく、元金および元金からの収益の確保が保証されているものでは ありません。
・ 当ファンドの基準価額の変動要因としては、「固定利付債および変動利付債 投資のリスク」「為替変動リスク」「期限前償還リスク」「オプション、先 物、その他投資手法のリスク」「ファンド運営上のリスク」などがあります。・ 詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)本文の「投資リスク」に関する 項目をご覧ください。

□手数料等
・申込手数料(税込):1.05~0.525%
・解約手数料:0%
・信託財産留保額:ありません
・信託報酬(年率・税込): 純資産総額に対して 1.0395%
・上記以外にも保有期間中に間接的にご負担いただく費用があります。詳しく は投資信託説明書(交付目論見書)本文の「手数料(費用)」に関する項目 をご覧ください。
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