Vol.18 サブプライムローン問題と信用スプレッド

グローバルな資産運用、リスク管理および投資顧問サービスを提供している資産運用会社、ブラックロックが、その運用手法をつまびらかにします。(現在は更新しておりません)

Vol.18 サブプライムローン問題と信用スプレッド

 米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題に端を発した信用収縮が収まる気配を見せていません。
 昨年の夏場以降、リスク回避の姿勢を強めた投資マネーは、世界の株式市場や信用市場から逃避して信用力の高い国債や、原油や金といった実物資産に向かっています。
 信用市場では、投資家が信用リスクを取ることに慎重な姿勢を強めていることから、流動性が枯渇し、これが信用スプレッドの拡大に拍車をかけました。 信用スプレッドとは、リスクフリーの国債と社債との利回り格差のことをいいます。
 信用スプレッドは、社債の流動性リスクや信用リスクをプレミアムとして国債の利回りに金利を上乗せすることによって決まります。

 第16回でもお話しましたが、サブプライムローン問題を背景に信用収縮の動きが加速する中、低格付け社債については、投資家が投資を手控えていることに加え、景気の悪化が発行体の財務状態の悪化を招いて信用リスクが増大するとの懸念から利回りが上昇(価格は下落)し、信用スプレッドが拡大しています。
 さらに、今回の証券化商品の大幅な価格下落要因の一つに、買い手がいなくなったことによって流動性が枯渇している中で、損失拡大を回避しようとする投資家の売却の動きが、信用スプレッドのさらなる拡大に繋がったと考えられます。

 今回のサブプライムローン問題は、信用力の低い個人向けのローンという、本来リスクの高いアセットクラスが、証券化されただけではなく、最新の金融工学を駆使してこれらの証券を組み合わせることでリスクが分散され、CDOという金融商品の組成を通じて、格付けの高い商品に生まれ変わったことで、問題が複雑になりました。リスクの所在が複雑で損失の実態把握が難しく、相場が疑心暗鬼になってしまいました。
 事実、欧米の金融機関のサブプライムローン関連の損失が決算発表の都度拡大していったのは、保有している金融商品が複雑であったり、流動性がなかったりしたために、損失が把握できなかったと考えられます。今回の信用スプレッドの拡大は、サブプライムローンが担保となっている証券化商品のみならず、証券化商品全般に及んでいます。例えば、政府系機関により信用力が補強されているため格付けが高いMBS(住宅ローン等の不動産ローンを担保にした証券)、CMBS(商業用不動産向けのローンを担保にした証券)、ABS(モーゲージ以外の資産を担保とした証券)といった商品にも及んでいます。
 また、比較的信用力の高い地方債にも信用スプレッドの拡大が波及しています。この背景には、モノラインと呼ばれる金融保証専門会社がサブプライム関連の証券化商品の保証をしていたことから、大きな損失を抱え、一部のモノライン会社が格下げをされたことが挙げられます。それは、モノライン会社が地方債の格付けを保証しており、モノライン会社の格下げに伴い、保証していた地方債の格付けも下がったことから、地方債の信用スプレッドが拡大しました。
 このように今回のサブプライムローン問題で信用市場は大変な混乱に陥っていますが、信用スプレッドが拡大しているということは、債券の価格が下落しているわけで、裏を返せば利回りが高くなっているということです。

 ブラックロックの「US・ユーロ債券ファンド」では、長年の運用で培われた運用ノウハウを駆使し、国債との信用スプレッドのバリュエーション比較や企業の財務内容の分析などを重視した銘柄選別を行うことで、利回りの向上を目指しています。

 次回は、CMBS(商業用不動産向けのローンを担保にした証券)について詳しくお話します。

※「ブラックロック・US・ユーロ債券ファンド」はマネックス証券でお申込みいただけます。
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/syohin/tousin/kihon/guest?MeigCd=++0035070000
投資信託をお申込みの際には、「目論見書」にて詳細をご確認ください。
・・「ブラックロック・US・ユーロ債券ファンド」に関する重要事項・・・・
□リスク
・ ファンドの基準価額は、組入れられている有価証券の値動きの他、為替変動による影響を受けます。したがってファンドの投資目的が確実に達成されるものではなく、元金および元金からの収益の確保が保証されているものではありません。
・ 当ファンドの基準価額の変動要因としては、「固定利付債および変動利付債投資のリスク」「為替変動リスク」「期限前償還リスク」「オプション、先物、その他投資手法のリスク」「ファンド運営上のリスク」などがあります。・ 詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)本文の「投資リスク」に関する項目をご覧ください。

□手数料等
・申込手数料(税込):1.05~0.525%
・解約手数料:0%
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・信託報酬(年率・税込): 純資産総額に対して 1.0395%
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