Vol.20 コンベクシティ

グローバルな資産運用、リスク管理および投資顧問サービスを提供している資産運用会社、ブラックロックが、その運用手法をつまびらかにします。(現在は更新しておりません)

Vol.20 コンベクシティ

 第10回で、デュレーションの話をさせていただきましたが、今回のコンベクシティを理解していただくために、復習も兼ね、デュレーションについてもう一度説明します。

 デュレーションとは、金利の変化に対する価格の感応度を表しており、「将来受け取るキャッシュフローの現在価値を加重平均したもの」です。
 残存期間2年、クーポン5%、利回り6%(市場金利)の債券を例にとって、この債券のデュレーションを計算してみましょう。
 この債券の将来受け取るキャッシュフローの現在価値は、4.717〔5÷(1+6%)〕と93.450〔105÷(1+6%)2〕=98.167となります。したがって、この債券投資の回収期間の加重平均は、〔(4.717×1年)+(93.45×2年)〕÷
98.167(現在価値の合計)≒1.952年となり、これがデュレーションです。 このデュレーションを(1+利回り)で除したもの、すなわち、1.952÷(1+6%)≒1.8415を修正デュレーションと言います。
 これは何を意味しているかと言うと、修正デュレーションが1.8415の債券は、金利が1%変動すると、価格が約1.8415%(修正デュレーション1.8415×1%)変動するということです。
 しかし、実際に金利が変動した場合の債券の価格を計算してみますと、この債券の利回りが6%から7%に1%上昇した場合の価格は、96.383となり、金利上昇前の価格は98.167ですから、価格の変動幅は、▲1.784(96.383-98.167)となります。
 一方、金利が1%低下した場合の価格は100(パー)となり、上記と同様に、価格の変動幅は、1.833(100-98.167)となります。

 ここで気づくことは、修正デュレーションで判断される、金利の1%変動に対する価格変動幅は、1.807(98.167×1.8415%)ですが、金利低下の場合は1.833と上昇幅が大きく、逆に金利上昇の場合は1.784と下落幅が小さくなります。つまり、一定の利回り変動に対する債券価格の下落や上昇は、必ずしも完全に比例しているわけではなく、デュレーションの直線に対して、凸状の曲線となります。
 また、変動金利の1%変動に対する債券価格の変動幅は、金利が上昇した場合には1.784、金利が低下した場合には1.833と、金利低下の場合の方が大きくなります。

 このように、デュレーションは金利の変化に対する価格の感応度を直線で表しますが、実際の債券価格の上昇幅や下落幅とは誤差が生じます。したがって、金利の変動と債券価格の関係を、できる限り実際のものに近づけるために曲線で表したものが、コンベクシティです。基本的には、債券の残存期間が長いほど、コンベクシティは大きくなります。

 一方、MBS(モーゲージ証券)は普通の債券とは金利動向に対する価格への感応度が異なり、金利が低下したときには普通の債券より価格の値上がりが少なく、金利が上昇したときには普通の債券より価格の下落が大きくなるなど、通常はネガティブに作用しますので、ネガティブ・コンベクシティといい、デュレーションの直線に対して、負の凸状の曲線となります。
 なぜなら、例えばMBSでは金利が上昇すると期限前償還が減少する傾向があることから平均残存期間が長くなり、デュレーションが長期化するので、金利上昇に伴う価格下落幅が普通の債券と比較してMBSの方が大きくなります。一方、金利低下の場合にはこれと逆のことが起こります。

 ブラックロックの「US・ユーロ債券ファンド」の米国債券の運用においても、こうしたMBSを組み入れており、ネガティブ・コンベクシティを考慮した上で、デュレーション調整による金利リスクのコントロールを行っています。
 次回は、債券ポートフォリオについてお話します。

※「ブラックロック・US・ユーロ債券ファンド」はマネックス証券でお申込みいただけます。
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投資信託をお申込みの際には、「目論見書」にて詳細をご確認ください。
・・「ブラックロック・US・ユーロ債券ファンド」に関する重要事項・・・・
□リスク
・ ファンドの基準価額は、組入れられている有価証券の値動きの他、為替変動による影響を受けます。したがってファンドの投資目的が確実に達成されるものではなく、元金および元金からの収益の確保が保証されているものではありません。
・ 当ファンドの基準価額の変動要因としては、「固定利付債および変動利付債投資のリスク」「為替変動リスク」「期限前償還リスク」「オプション、先物、その他投資手法のリスク」「ファンド運営上のリスク」などがあります。・ 詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)本文の「投資リスク」に関する項目をご覧ください。

□手数料等
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