噛ませ犬のバラード

若手社員の脱力系コラム。脳天気キャラのトホホな日常にあなたも失笑!?とりあえず毎回の「追伸」だけは必見。(毎営業日更新)

噛ませ犬のバラード

こんばんは。先日、プロボクシング史上初となる中国人の世界王者が誕生!中国に初のチャンピオンベルトをもたらしたのは、2009年に日本の内藤大助に惜敗した熊朝忠(ユウ・チョウチュウ)。あらゆる分野で躍進めざましい中国ですが、いずれはボクシング界も中国人選手が席巻してくのか?今後に注目、ぼすみんです。

さて話題は変わりますが、ボクシングの世界には「噛ませ犬」という言葉があります。もともとは闘犬用語で、「やられ役」として起用される弱い犬のことを指すようですが、ボクシング界においてもその意味するところはほぼ同じ。早い話、楽に勝たせてくれる安全パイが噛ませ犬ボクサーと言えましょう。

ある時は将来有望なボクサーの踏み台とされるため。ある時はスランプに陥ったボクサーや、再起を図るボクサーに自信回復させるため。そしてまたある時は力を誇示したいボクサーに、派手にノックアウトされるため・・・。浜の真砂は尽きるとも、世に噛ませ犬ボクサーへの需要は尽きまじ。

念のため申し上げておきますと、彼ら噛ませ犬ボクサーは決して八百長をやってるわけではありません!試合は真剣勝負そのものなんですが、単に実力差のありすぎる相手、番狂わせが起きる余地もないほど力の差がある相手と試合を組まれ、公開処刑のような試合を強いられているだけなのです。

最近はそうでもなくなりましたが、一昔前の日本では試合前から勝負の行方がハッキリ見えてる対戦カード、「実力派日本人 VS 噛ませ犬の外国人選手」という図式が実に多かった!噛ませ犬として重宝されてたのはフィリピンやタイの選手。ジャパンマネーにモノを言わせてこれらの国から大きく負け越してたり、何連敗もしてる弱小ボクサーを連れてきてたのです。

悪い意味で厳選された噛ませ犬たちの戦績は言わずもがなで、例えば2006年の日本国内におけるタイ人ボクサーの戦績は9勝266敗5分け・・・(さすがに現在は一定の実績がある選手以外は招聘を禁止するなど、噛ませ犬起用に歯止めがかかっています)。本来フィリピンもタイも、かなりのボクシング強豪国!選手層厚いのをいいことに日本が弱すぎる選手ばかり念入りにセレクトして連れてきため、「噛ませ犬産出国」のような悪しきイメージがついちゃったのは甚だ不憫。

そのタイですけど、ここは日本以上に噛ませ犬ボクサーの起用が盛ん。タイもまた自国より経済規模の小さい国や、ボクシング後進国から大勢の噛ませ犬を招聘しまくっているのです。日本がタイのことを言えた義理じゃありませんが、タイの噛ませ犬起用はレベルが違う!・・・だって、現役の世界チャンピオン(タイ人)の噛ませ犬として、プロでまだ1勝もしたことのない外国人選手とか、デビュー戦の外国人選手を平気でガンガン起用する国ですよ(汗)。

タイのボクサーは試合間隔が短めで、たとえチャンピオンであってもタイトルマッチの合間に調整としてノンタイトル戦を挟むことが多いのですが、ここで信じられないようなムチャクチャな試合が結構頻繁に組まれてたりするから見ているこっちも気を抜けません。

一例を挙げると名王者ウィラポン(辰吉丈一郎に2勝、西岡利晃に2勝2分け)は現役世界王者時代にプロ通算0勝7敗(!)のインドネシア人と対戦。日本人キラーとして名を馳せたポンサクレック(世界タイトルマッチにおいて日本人選手計10人に勝利)は王座返り咲きをを果たす過程、3選手にデビュー戦の相手として「胸を貸して」ます。先週のWOWOWエキサイトマッチではコンパヤックの防衛戦が放送されていましたが、彼の1つ前の相手もまたデビュー戦となるインド人。ここで大抜擢(?)された噛ませ犬の皆さん、ノンタイトル戦とはいえ世界王者を撃破すれば一夜にしてスター誕生、究極のシンデレラストーリー!ってなことになりますが、残念ながら僕の知る限りそういうミラクルが起きた事例はないようです。

ハラハラドキドキのデビュー戦、リングで初めて対峙する相手がいきなり世界チャンピオン(汗)!これは世界一不幸なデビュー戦と言えますが、チャンピオンと対戦する夢が叶わず志半ばで消えていくボクサーが世の大半であることを考えると、グルッと一回りして世界一幸運なデビュー戦とも考えられそう。とにもかくにも普通じゃありえないこんな試合がザラに組まれるあたり、なんでも「マイペンライ(大丈夫)」で済んじゃうタイのお国柄か?ちなみにタイで噛ませ犬としてお呼びのかかるのは、タンザニアやウガンダ、ナイジェリア、ラオスあたりの選手が多い様子。

本日は日本とタイの「噛ませ犬事情」をお伝えしましたが、どこの国のボクシング興行でも程度の差はあれ、海外から噛ませ犬を連れてくる図式は似たりよったり。当然、噛ませ犬の招聘にもお金がかかるわけですが、裕福な国の選手はそれなりのファイトマネーを積まないと呼べないため、自ずと1人あたりGDPの小さな国に白羽の矢が立つ傾向がある模様。

ここで再び冒頭の話題に戻って、中国。今後、中国でもボクシング人口は増加の一途をたどると思われますが、いずれは大勢の中国人ボクサーが噛ませ犬として日本のリングに上がるのか?はたまた逆に、日本人ボクサーが大挙噛ませ犬として中国に渡るのか?今から非常に気になるところです。ハイ。

(追伸)
日本人初のボクシング世界王者は故・白井義男さん(1923~2003)。白井さんはお祭りの余興でカンガルーとボクシングで対戦、これ以来ボクサーを志すようになったとか。カンガルーといえば、オーストラリア・パース造幣局発行のカンガルー金貨が当たるキャンペーンが本日スタート!
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2012/news1211_31.htm

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