「手取りの1~3割を貯めよう」

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

「手取りの1~3割を貯めよう」

前回、「お金を使うか、貯めるか」の永遠の命題を解決するには、3つのポイントがあることをお話しました。
1.我慢にまさる甘い目標を持つこと
2.複利+積立てのすごいパワーを知ること
3.労力いらずの自動の積立てシステムを利用すること

で、1日1000円を6%で積み立てたら、27年後に2500万円になるという例を出したところ、どうやったら6%で運用できるの?というお問い合わせをいただきました。

スルドイご質問です。日本の金利水準と株式相場の状況では、今6%を実現するのはまず不可能です。しかし、ここでは27年という超長期で考えていますから、この間の平均利回りが6%であればいいということになります。

10年ほど前、日本でも定額貯金の3年以上の金利は6%超で、10年国債の利率は7%台でした。1年程前までアメリカのMMFの利回りは5%を越えていました。アメリカの株式相場は1990年から2000年までに約5倍(年利回りに直すと約17.5%)になりました。

ということは、20年とか30年とかのなが〜い期間では、金利の高い時期にうまく債券や固定金利型の金融商品を使い、また株式投資や海外投資を組み合わせれば、6%程度の運用は非現実的ではないはずなのです。

「10年後に笑うマネープラン」を実践するには、目の前の金利や相場、日本だけの状況にとらわれず、常に長〜い目と広〜い視野でマネープランを考えていくことも、大切なポイントです。

でも本当は、何%で運用できるかという数字は、そんなに大切ではありません。現実的な目標は、いつもインフレ率よりもちょっと高めで運用するということ。デフレの今は、金利ゼロの普通預金に預けていたって大丈夫ですが、インフレ率が7%の時は6%で運用できても、実際にはお金の価値が目減りしたことになってしまいます。金利はいつも相対的なものですから、数字そのものより、何と比べて考えるかを間違えないようにしたいですね。

具体的な話に戻りましょう。お金を貯めるには、何に預けるかも大事ですが、それより大切なことは、毎月毎月どのくらいを貯蓄に回すかということです。独身だとか、家賃が高いとか、社宅だとか、子どもがたくさんいるとか、いろんな条件がありますから一概には言えませんが、簡単にケース分けして目安となる金額を出してみました。

1)就職したばっかり、結婚したばっかりなどで生活が楽でない人
                      ・・・ 手取り収入の1割収入が少ないと、貯蓄なんてとてもできない、と音を上げたくなるかもしれませんが、この時期に無理をしても「貯める習慣」をつけておかないと、一生お金を貯めることはできません、たぶん・・。最低でも手取り収入の1割は、給与天引きか何かで、強制的に貯蓄に回します。

利回りを追求するよりも、確実な商品を選んで貯めます。勤務先の財形貯蓄でもいいし、銀行の自動積立定期でもいいし、証券会社のMRFや公社債投信の積立でもOK。ボーナスからも必ず1割を貯蓄します。

この最低ラインを死守し、ここから引き出さなければ、8〜10年後には(利回りによって)年収相当分の貯蓄ができる計算に。ほっと一息つけますね。
2)自宅通勤の優雅な独身者、社宅住まい、DINKS
                      ・・・手取りの収入3割家賃を払わなくていい独身者や、家賃の安い社宅住まい、夫婦共働きで余裕のあるDINKSなら、手取りの3割はなんとしても貯めたいところ。

なぜって?そんなに恵まれた状況はずっとは続かないから。手取り25万円まるまるお小遣いにしていた独身者が結婚して片働きになれば、25万円から家賃を払い家族全員分の生活費としなければなりません。社宅住まいならいつかはそこを出なくちゃならない。DINKSだって、子どもが生まれれば保育費や教育費の出費が突然増えます。あるいは妻が仕事を辞めることに。

そのときになって泣かないように、今から出費増(または収入減)にそなえてかっちり貯めておく必要があるのです。せっぱつまっていないので、確実な積立以外に、株式投資信託や外貨での積み立てを組み合わせると、長期では高い利回りを得られる可能性ありです。

3)それ以外の方
                     ・・・手取り収入の2割
特別苦しくもないけど、余裕があるわけでもないという方なら、貯蓄の目標は手取り収入の2割です。

これで貯めていけば、8〜10年後には年収の約2倍の貯蓄ができる計算に。家を買うときのひとつの目安は、価格は年収の5倍、自己資金は(各種手数料など諸費用を含めて)年収の1.3倍なので、「手取りの2割貯蓄」を始めてから10年以内に、無理なくマイホームを手に入れられる計算になります。
さて、あなたの毎月の積立て額は合格ラインですか。足りない人は、アクションを起こしてください。繰り返しますが、成功のコツは自動積立のシステムを利用することです。積立て額を引いたあとの金額で生活する習慣をつけてしまえば、あとは自動的に貯蓄は増えてくれるのですから。

(ファイナンシャル・プランナー 中村芳子、隔週連載予定)

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