お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
前回は収入の何割を貯蓄に回すべきか、という話でした。
1)生活がすごく苦しい人でも、なんとか手取りの1割を目標に!
2)DINKS、社宅住まいなど“今”ゆとりのある人は、将来の変化に備えて3割は貯蓄したい。
3)ふつうの人は、手取りの2割を貯蓄すればふつう以上の生活が送れる。
ではでは、これを実行に移して10年後に笑うための具体策に入っていきましょう。積立て名人こそが、泣く子も笑う資産づくりの王者なのです。
<月々とボーナス、どちらから貯めればいい?>
とはよく聞かれる質問。2割貯めるを前提に簡単な目安をお教えしましょう。
1)基本は、給料からもボーナスからも2割ずつ
とにかく最初は深く悩まないでスタートしたいもの。機械的に給料からもボーナスからも手取りの2割を貯蓄に回します。
2)毎月の生活が苦しくて赤字の人はボーナスからだけ
家賃に食費にと毎月の出費を払うと、どうしたって給料からは貯蓄に回せないという人は、ボーナスからドーン貯めるようにすれば、毎月の給料を使い切っても赤字にさえならなければ大丈夫。夏冬のボーナスからの貯蓄額は、手取り年収の1割ずつ。手取り年収400万円の人なら、ボーナス1回ごとに40万円ずつを貯蓄に。ただし、こういう人はボーナス払いのカードの買い物をしてはいけません。
3)ボーナスが多くない人、自営業者は毎月、毎月。
ボーナスが少ない人、ボーナスは心置きなくパーッと使っちゃいたい人は、月々を多めに積み立てて年間の目標額をクリアするようにします。自営業やフリーランスで収入が変動する人も、毎月の収入金額に関わらず、年間貯蓄目標額を12で割った金額を、毎月自動的に積み立てる手続きを。そのためには、収入が基準額より多いときにはそれをプールし、基準額より少ない時はそこから引き出すような「特別口座」を普通預金口座(生活口座)とは別に作っておくと便利です。
<何で貯めるか、それが問題だ>
では次にどの金融商品で積み立てるか。商品は目的によってちがってきます。
1)最初のステップ、生活費の3か月分を「予備費」に
貯蓄ゼロの人、就職したばかりの人の最初のゴールは、何かあったときにあわてずにすむよう最低限のお金をたくわえることです。「もしも」に備えるお金を「予備費」といい、だいたい生活費の3か月分が目安。手取りの2割を貯めていけば、だいたい1年でこのレベルはクリアできます。いつでも引き出せる安全性の高い商品を選びましょう。
2)中期の積立ては「公社債投信」。目的別商品も上手に使う
基礎となる「予備資金」の貯蓄ができたら、次は自分の「ヴィジョン」に応じて、もう一回「貯める目的」を洗いなおしましょう。今は何にも思いうかばないという人でも、2割を貯め続けて100万円、300万円、500万円と貯まっていくうち、夢がむくむくっと湧いてきたりするから止めないで!
中期(3年以上)の積立ての柱となる商品は、私は「公社債投信」だと思います。昨年4月の商品性見直しで、安全性や利回りという点では以前より魅力が薄くなりましたが、解約手数料が安くなった分機動性は良くなりました。債券型の投資信託なので、安全性は十分に高く、仕組みから言っても同期間の定期預金よりは、ほぼコンスタントにやや高い利回りをつけるはずです。
積立ての商品を選ぶ時のポイントは「長期に預けた時に利回りが良くなるもの」なので、もともと短期(3年以下)の商品として開発された定期預金などは不向きなのです。
また、世の中には、ある目的のためだけに設計された積立て商品もあります。たとえば、家を買いたい人なら、利息に税金がかからないメリットのある「財形住宅貯蓄」(ただし勤務先に財形制度のある人だけ)や、年2回積み立てる住宅金融公庫の「つみたてくん」(住宅宅地債券)を検討してみましょう。
3)長期で資産を作るなら「利殖型商品」は外せない
明確なヴィジョンを持っている人なら、もっと長い目で見た「資産づくり」が可能になります。入社と同時に35歳で独立開業するための資金を貯め始める。子どもが生まれたときから、大学入学の資金を貯める。40歳から退職後の資金を貯め始めるなどなど・・。
積立て期間が10年以上あるなら、安全確実な商品(前出の公社債投信など)での積立てに、相場変動の影響を受ける「利殖型商品」での積立てを加えたいところです。数ヶ月、数年という短期で利益をあげようとすると、株式、株式投資信託、外貨建て商品などは非常にリスクが高く、利益をあげるより損をする可能性のほうが高くなります(株式相場が超活況で、誰が何をどんなタイミングで買っても儲かるというときは別ですが・・)。
しかし、毎月一定額を買いつづけるという投資法、つまり「積立」でリスクのある商品を買っていくと、リスクは分散されて小さくなり、結果として安全確実な商品よりもずっと高い利回りとなる確率が大きくなるのです。積立てなら、売買のタイミングを計る必要もないので、忙しい人だってきちんと「投資」を続けられます。
では、数ある利殖型商品の中からどれを選んだらよいか、ですが、一押しは「株式投資信託」です。月1万円から積立てられる上、1万円で数十から数百の銘柄に分散投資できるのですから、実に夢のような商品だと言えます。
ほめすぎ?もちろん、ちゃんとした株式投資信託でないとダメですね。いくら積立てで「ドル・コスト平均法」が働いたとしても、価格が右上がりにならないと意味がありません。また、販売手数料、信託報酬などのコストが高いと、最終的な利回りに跳ね返ってしまいます。
しかし、投資期間は10年以上の長期です。「いくらなんでも株式相場が今のマンマということはないでしょう」という人なら、積立て額の3〜5割を適正な株式投資信託でやる価値はあります。
次回は投資信託での積み立てについて、もっと詳しく考えてみます。
(ファイナンシャル・プランナー 中村芳子、隔週連載予定)
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