お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
前回は、5つの志向別蓄財法を紹介しましたが、実はどのタイプにも共通なのが「自動積立システムを利用すべし」というアドバイス。これまでの15年超の(!)FP経験から断言しますが、貯蓄上手の人たちは絶対!必ず!「自動積立て」を使っています。投資信託積立てのメリットはすでに紹介したので、今回はそれ以外の主な積立て商品のしくみと使い方のポイントをまとめました。
(1)サラリーマンの特権「財形貯蓄」
[しくみ]勤め人の資産づくりを国が応援する制度。一般財形、財形住宅、財形年金の3種類があり、会社が提携している金融機関に給料からの「天引き」で積立てるシステム。複数の商品の中から1つを選べる場合が多い。財形住宅と財形年金は条件を満たすと、一定額まで利息に税金がかからない。
[ポイント]給与天引きなので、残高不足で積立てができないという事態に絶対ならず、かならず貯まるのが強み。ただ、会社によっては積立て開始、金額の変更などの受付けは年2回だけ、など制約があって自由度は低め。せっかく非課税のメリットがあるので、いつか家を買う可能性がある人なら「財形住宅」をやっておくといい。その予定がないなら、とりあえず「一般」を。
(2)貯蓄ゼロの人はここから始めたい「自動積立定期」
[しくみ]普通預金口座から一定額を定期預金に振り替えて積立てる。総合口座にしておくと、預金残高不足でも公共料金やクレジットカードの引落としの代金を、定期預金残高の90%まで自動的に貸し付けてくれるので、お金の管理が未熟な人にも安心。
[ポイント]とにかく生活費の3か月分は、予備費として安全な商品で持っておく必要があるので、貯蓄ゼロ〜生活費3ヶ月未満の人は、この方法で最低ラインを突破したい。
ここからは値動きのある商品での積立てです。
(3)大化けの可能性もあるがリスクの高い「自社株」
[しくみ]上場企業に勤める人が、自社の株を毎月一定額買えるというもの。月1万円積立てると会社から2000円の奨励金が出て12,000円分の株が買えるというところもある(優遇制度は会社によって異なる)。
[ポイント]自分の会社の株を買うにはこれが最善の方法。前途が明るいと体感でき確信できるなら、自社株積立ては悪くない。実際、これで一財産作っている人もいる。ただ、すでに自分自身を会社に投資している上に、給料の一部も会社に投資するのはハイリスク。万一会社が倒産すれば(最近は大企業の倒産もめずらしくないゾ)、職と同時にそれまで積立ててきた資産をも失うことになる。他の種類の積立てと並行してするべきでしょう。
(4)円安リスクに備える「外貨」積立て
[しくみ]証券総合口座から、毎月一定額を外貨MMFに振り替える。為替レートの変動に関わらず、円で一定の金額を買付けるのでドル・コスト平均法のメリットを享受できる。外貨預金積立ても然り。
[ポイント]為替は必ずしも「円安」になるとは限らない。急激な円安に備える「保険」と位置づけて活用しましょう。為替手数料などは取扱う証券会社によって異なるので要チェック。外貨預金に比べ米ドルMMFは換金性、税金、為替手数料などで有利な場合が多い。
(5)まだ発展途上の「変額年金」
[しくみ]保険会社に支払う保険料で、複数のメニューの中から指定した投資信託を買っていくもの。一定の死亡保障もついている。保険運営の一定の手数料が差し引かれる一方で、課税が保険金の受け取りまで繰り延べられるメリットがある。
[ポイント]保険付き投資信託とも呼ばれ、保険会社ではなく証券会社で扱っているケースもある。保険料を一括払いするタイプが主流で、積立てに使える商品はまだ少ない。運用商品の数が限られていることや中途解約のペナルティを考えると、個人的には投資信託での積立ての方が優っていると思う。「年金」という名称としくみや解約ペナルティがあることで「解約しにくいから貯まる」という性質は否定できない。
(6)自営業者向けの「小規模企業共済」「国民年金基金」「個人型401K」[しくみ]いずれも老後資金づくりを応援する国の制度で、掛け金が全額所得控除となるメリットがある。
[ポイント]退職金制度のない自営業者、小規模企業の経営者、フリーランスで働いている人は、使える非課税制度は全部利用して、老後の資金を貯めたい。同じ利回りの商品でも、税金分を多めに積立てられると考えられれば、実質の利回りは大幅に高い計算になる。独立起業者もぜひこれらの制度を活用したい。
繰り返しますが、積立ては運用の最も基本的な形です。目的や志向に合わせて複数の商品を組合わせ「寝ている間にお金が殖える」しくみを作ってください。
ファイナンシャルプランナー 中村芳子
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