住宅ローンで苦しまない方法(2)

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

住宅ローンで苦しまない方法(2)

借りすぎなければ、つまり年収の4倍までの住宅ローンなら恐くないというのが前回の話だった。恐くないから、借りた後は忘れてしまっても大丈夫。借り換えか、繰上げ返済かと頭を抱えている同僚を尻目に、あなたは涼しい顔をしていることができる。今日はもう一歩進んで、有利なローンの選び方を押さえてみたい。

(1)借りられるローンをピックアップしてみる
「住宅ローンといえば、とにかく住宅金融公庫」という時代も終わろうとしている。目先だけの金利なら、銀行の変動金利型住宅ローンの方が0.3〜1.6%安い。住宅金融公庫とほぼ同じ仕組みの最長35年の固定金利型ローンを扱っているところもある。

以下、いくつかの住宅ローンをひろってみた(2002年6月12日現在)。 住宅金融公庫の基本融資(固定)当初10年 2.6%
                  11年目以降 3.5%
 都市銀行Aの住宅ローン    変動金利 2.35%
                 3年固定 2.25%
                10年固定 3.55%
 信用金庫Bの住宅ローン(固定)当初10年 2.3%※
                  11年目以降 3.3%※
 住宅ローン専門会社  (固定)3.05%※(最長30年)
 ※団体生命保険料は別途

ぱっとみても、必ずしも公庫有利といえないのがわかる。ネット銀行など新しいところが住宅ローンを売り出したし、銀行はキャンペーンなどでさらに金利を低くする場合がある。どのローンが有利かはケースバイケースだ。

新築か中古か(公庫は中古の場合築○年までと制限がある、一部の金融機関のローンは新築、新築マンションのみ対象)、サラリーマンか自営か(自営業者は民間金融機関では借りにくいことがある)、夫婦の収入を前提とするか(収入合算の条件や方法もいろいろ)によって、実際には利用できるローンの種類は限られる。

買う物件のめぼしが付いたら、まずどんなローンが使えるかをいくつか拾い出してみることが大切だ。使える公的ローン(公庫、年金、財形)は全部チェックしておきたい。不動産業者に勧められるまま、提携ローンですぐに決めてしまうのは愚の骨頂だ。

(2)初期費用と返済総額を試算してみる

有利なローンを知るためには、金利だけを比較してもダメ。住宅ローンを借りる際にはいろいろな費用がかかるが、これが借入先によって差があるからだ。だから、当初にかかる費用と総返済額を合計してみて、初めて有利なローンがわかるというわけ。
当初にかかる主な費用で、差が出てくるものに次のようなものがある。

・抵当権設定費用 借入3000万円の場合で約7万円 公庫は不要
・ローン手数料  0〜数万円
・保証料     3000万円の場合で50〜70万円
         保証料ゼロの金融機関もある
・火災保険料   毎年払う場合と、ローン期間分一括支払の場合がある
特に保証料は金融機関によって0から数十万円と差が大きい。火災保険料も年払なら数万円のところが30年分一括だと100万円を超えてしまうケースもある。何かと出費がかさむときにこれは大きいから、気をつけよう。
固定金利なら総返済額は簡単に計算できる。変動金利型なら、今の金利が満期まで続いた場合と、10年後に3%金利が上がった場合とで考えてみたい。これで、金利と初期費用の両面から自分に有利なローンを選ぶことができる。
(3)それ以外のちょっとした要素
ローンを選ぶ2大要素は、金利と初期費用だが、2〜3の銀行が横並びなら、ほかのことも比べてみたい。
・固定金利型と変動金利型を組み合わせられるか
  (金利変動のリスクを分散したい人向き)
・途中で返済期間を短縮したり、延長したりできるか
・繰上げ返済はやりやすいか、そのコストはいくらか
・担当者は、ローンの知識が豊富で、相談に快くのってくれるか。

当たり前だが、自由度が高くコストが安いローンが優れている。
住宅ローンは一生でいちばん大きな借金。必ず複数の情報を集め、シミュレーションをしてから選ぶべきだ。インターネットがそのための強い武器になってくれるのは言うまでもない。

ファイナンシャル・プランナー 中村芳子

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