お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
大学に合格することが人生の目的ではなく、結婚が人生のゴールではないように、家を買うということも、目的やゴールではなくひとつの通過点であり、同時にハウスオーナーとしての生活のスタートだ。当然、お金の面でも賃貸住宅に住んでいた時とはちがう考え方や、プランが必要になってくる。
● 十分な修繕積立金を貯めるべし
マンションでも一戸建てでも、賃貸時代と違い建物のメンテナンスは自分の責任でやることになる。これをきちんとやるかどうかで、住み心地は大きく違ってくるし、将来売却する時の価値も大きく変わってくる。心して取り組みたい。
一戸建ての場合は、どういうスケジュールでどこを修理するかはすべて、所有者にかかってくる。まめに手入れをするかどうかで、隣り合った建売住宅が20年後には全く様子が違ってくる。特に外回り(外壁の塗り替えや屋根など)に手を抜くと、見た目が悪いだけでなく防水効果が薄れるために建物そのものが痛み、寿命が短くなってしまう。手入れの悪い一戸建ては20年もたつと、建物の時価はゼロになり、土地の値段から取壊し費用を差し引いた値段でしか売れなくなってしまう。リフォーム費用をけちることでその何十倍もの損をすることになるわけだ。そうならないためにも、家を買う時には、売り主の不動産業者などに、大まかなリフォームのスケジュールと予算とを聞いておき、実行することが大切だ。
● 足りないことが多いマンションの修繕積立金
マンションでは一定額の修繕積立金を管理組合を通して積み立てるのが一般的だ。しかし、決められた額を積み立てているからといって安心してはいけない。修繕積立金でまかなうのは、建物の共用部分だけだし、おまけにマンションを売りやすくするために当初は修繕積立金の額を、必要額の半分以下に押さえいるケースがほとんどだからだ。
修繕積立金が妥当な額かどうかを知るために、管理組合に修繕プランとその見積もりを問い合わせてみよう。管理組合は複数の業者に見積もりを出してもらうべきだ。そのプランが本当に今の積立金で賄えるならいいが、そうでなければ見積もりから逆算して必要額まで積立金をふやす必要がある。でないと、いざ修理という時に百万円以上の一時金を払わざるをえなくなり、それを負担できない世帯があると修理が難航する。
マンションの自己所有部分のリフォームは自分で計画し、負担することになる。入居して10年もたてば壁紙や畳は新しくしたいし、20年後にはキッチンや風呂などの水まわりも新しくしたい。子どもが独立した後は4DKを2LDKに改造したくなるかもしれない。とすると、決められた修繕積立金以外に、自分でもリフォーム費用を積み立てておいた方がいいわけだ。
● 購入価格の0.5%以上を修理のために積み立てよう
毎年積み立てるべき金額の目安は、おざっぱに言って購入金額の0.5〜1%。4000万円の物件なら、年間20〜40万円だ。マンションでも修繕積立金とは別に0.5%は積み立てたいし、一戸建てなら0.5%は最低ラインだ。
真新しい家を買ったばかりのころはローン返済も苦しいし、新しい家具を買うことは考えられても、なかなかリフォーム費用のことまでは頭が回らない。しかし、家を買うこと=スタートだということを頭に入れて、すぐにリフォーム積立てを始めることが大切だ。
「繰り上げ返済」に力を注ぎすぎて、必要なリフォーム費用が貯められなければ、ローンの利息を節約しても建物の価値を下げることになってしまう。返済と貯蓄のバランスに注意しよう。繰り上げ返済については、次回お話する。
(ファイナンシャル・プランナー 中村芳子)
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