パートナーとのマネーコミュニケーション術

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

パートナーとのマネーコミュニケーション術

夏休み。家族や恋人ともうどこかへ出かけましたか? 旅行は目的地に行くことはもちろん、プランを立てることや荷造りなどの準備することも、楽しみのひとつだ。

楽しいこと、というのは夫婦でも恋人同士でも話しやすいし、プラン作りも楽しいが、けっこう難しいのが「お金のこと」。恋愛中の相手から「ところで、あなたの給料はいくらくらい?」「貯蓄はどのくらいある?」と聞かれたら、引いてしまうのが普通だろう。

しかし、いろいろなことを二人で達成していこうと思うなら、お金の話は避けて通れない。でも、しかし、やっぱり・・・

ここでちょっと視点を変え「お金のことを話す」のをゴールにしないで、「お金をダシにして、相手のことをもっと知る」をゴールにしたらどうだろう。いくらのマンションを買うつもりか、その資金計画を聞き出すのを目的にしないで、どんな暮らし方をしたいかを知るために、お金をその道具に使うのだ。こんな具合に。

将来の住まいのことなど話したがらない夫に、妻が新聞の折り込みチラシを見ながら話しかけてみる。
「ねえ、となりの駅に3500万円で買えるマンションがあるみたい。ちょっと見て、けっこう良さそうよ。」
「う〜ん」
「あんまり興味なさそうね。家を買う気はないわけ?」
「そういうわけじゃないけど」
「3500万円が高すぎるから?このあたりだとこのくらいが相場じゃない?」「ああ、でも、まだ買うにはちょっと早いような気がするんだけど。」
「でも貯金は500万円くらいあるから、親から援助してもらえば買えないことはないと思うけど」
「う〜ん、どれどれ(チラシをのぞきこむ)。ちょっとこれじゃ狭そうだね。子どもが1人増えたら窮屈なんじゃない」
「えっ、子どもあと1人欲しいの!?」
「ん〜、やっぱり小さくても庭があったほうがいいよね。一戸建ては無理だから、マンションの1階かなあ」

という具合である。コツは、自分の意見を主張しすぎないで、相手の考えを引き出す方向に持っていくことだ。

「ねえ、私立の○○中学に入学すると、年150万円くらいかかるらしいんだけどどう思う?入学試験のための塾は月4万くらいですって」
子どもの教育費をネタに、夫が子ども進路や学校選びをどう考えているかを聞きだせる。

「実は、退職したら今のマンションを売ってさ、ちょっと田舎の方に引っ越したいと思ってるんだけどどう? 3000万円で売ればむこうで1000万円くらいの中古の家を買って、残りは生活費や趣味のお金に充てられるし、キミは趣味のガーデニングも思いっきりできるでしょ、僕は釣り三昧の・・」 
具体的な金額をネタに、退職したらどう暮らしたいか、どこに住みたいかというのを持ち出し、相手の出方を見るわけだ。

「お金」という道具で切り出すと、将来のことについて想像力を働かせるのが苦手な人も、不思議とイメージがわきやすくなり、具体的に考えやすくなる。具体的な金額を持ち出すことで、こちらの真剣さもアピールできる。

「あのホテルで結婚式を挙げると最低300万円らしいよ。豪華なのも悪くはないけど、式は家庭的な質素なのにして、その分生活にお金をかけるのが合理的だと思わない?」と、プロポーズを匂わせつつ、相手の結婚やお金に対する価値観をさぐることもできる。

”お金”を考えるのでなく、お金の先にあることを考える。そうすれば、お金を語ることは難しい、嫌なことではなくなるはず。旅行のプランを立てるように、二人で楽しみながらお金のプランを立てられるようになれば、しめたものだ。

(ファイナンシャル・プランナー 中村芳子)

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