お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
結婚しない人、結婚を解消してひとりに戻る人が増えているにも関わらず、厚生労働省の発表する家計や年金のモデルケースは、相変わらず夫婦(それも妻は専業主婦)に子ども2人と相場がきまっていて、独身者には全く参考にならないことが多い。モデルケースも、もっとバリエーションを増やしてくれないとちっとも役に立たないのにね。
生き方のビジョンを持つこと、目標を設定すること、目標実現のためのプランを作るというマネープランのプロセスは、既婚者も独身者も変わりないが、シングルだからこそ気をつけたい点もいくつかありそうだ。
● シングル族の3つのタイプ
ここではシングル族を「30代以降で独身で、当面結婚の予定がなく、結婚に対する願望が薄い人」と定義する。離婚者も含める。「結婚したくないわけじゃないけど、しない可能性も大きい」という人はシングル族だ。
シングル族のお金に対する態度は、だいたい次の3つに分けられる。
(1)今日も楽しい「キリギリス型」
今の生活に不自由はないし、楽しいこともそこそこあるから、計画も持たず備えもせずに暮らしているタイプ。年収200万円のフリーターも、年収
1000万円超の人もいるが、貯蓄がほとんどないのは共通している。忙しすぎて仕事以外のことは考えられない人もいる。
気楽なマイペースに見えるが、実は将来のことを考えるのが恐いので、自分の心の奥底にある心配事を、なるべく見ないように避けているのが特徴だ。
(2)いつも心配「ヒツジ型」
将来に対する不安材料を、いつもいつも考えているタイプで、笑っても表情に陰があるのが特徴。病気をしたら、勤め先が倒産したら・・・だけでなく、30代から「死んだら誰が供養してくれるんだろう」と気になって眠れなくなったりする。不安が大きい分、人一倍貯蓄に熱心で、老後のためにマンションを買いたがる人も多い。
(3)お金に頼り過ぎない「イルカ型」
独身の自由を楽しみつつ、テキトーな経済的備えもしていて、人生に対する態度は楽観的。人生にお金は必要だが、なくても何とかなるサと思える強さがある。
もちろん理想は(3)のイルカ型だが、そういう人は少ない。自分がキリギリスに近いか、ヒツジ寄りかを考えて、それぞれに合う対策を講じたい
● キリギリス型は10年後の自分の年齢を考えてみよう
今36歳の人は10年後には46歳だ。当たり前だが、ふだんは考えないし実感が湧かない。でも現実を受け入れて、次の2つを思い描いてみよう。
(1)10年後46歳のとき自分はどうなっていたいか。
(2)このまま行くと10年後の自分はどうなるか。
「なりたい自分」と「なりゆきでなりそうな自分」に大きなギャップがあるなら、なりたい自分に近づけるために、今できることがないか<前向きに>考えてみよう。
太りすぎないためにスポーツクラブの会員になるとか、リストラされないために資格を取るでもいい。方向性が決まれば、すぐに行動できるのがシングルの強みだから、手軽なところからすぐ行動に移したい。
お金の面では、まず手取り収入の1割を貯蓄するクセをつけることだ。そうすれば10年後には最低でも年収分の貯蓄はできていることになる。2割ならなおよい。手元にまとまったお金があると、お金に対しても人生に対しても意識が変わるものである。
● ヒツジ型は10年以上先のことを考えないようにする
30代で60代以降のことを心配しすぎるのは病的。いいことはひとつもない。それよりもこれからの10年間を、どうやったら充実して過ごせるかに焦点を絞りたい。老後の住まいとしてのマンションではなく、30代40代を快適に過ごせる「住まい」を手に入れるべきだ(買う場合でも賃貸でも)。
健康で、楽しく生きがいを持って働けなければ、シングルの生活は味気ない。ずっと先への備えより、今の充実感をアップさせることに重点を移そう。
老後のための貯蓄は40歳からで十分で、収入の1〜2割を貯蓄に回せばたいていは事足りる。貯蓄しすぎないよう注意しよう。インフレや相場の下落であっという間に目減りしてしまう貯蓄よりも、状況が変わっても生き延びられる「たくましい自分」を作るための自己投資に、お金と時間をかける方が効果的。体を鍛えて、語学や専門知識を磨くのはお勧めだ。このタイプは友達が少ない傾向もあるので、いろいろな活動を通して交友関係も広げたい。
次回はシングル族すべてのタイプに共通するポイントをまとめたい。
(ファイナンシャル・プランナー 中村芳子)
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