お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
「どれだけのリスクが取れる?」
独身者は、家族に対する責任がないし、プラン変更がフレキシブルなので既婚者より大きなリスクをとれると言われるが、本当だろうか。
● リスクをとれる資産
リスクを取ってよい資産には2つある。
ひとつ目は「余裕資金」。半分になってもなくなっても、これからの生活に支障がないというお金だ。ふたつ目は10年以上運用できるお金、「長期資金」だ。40代から貯める老後資金はこれにあたる。
「余裕資金で株式投資を」とよく言われるが、フツーの人、特に30代〜50代の家族もちには、家計の中に余裕資金なんてまずない。結婚したらせっせと家の頭金を貯め、家を買ったら子どもの教育資金、それが終わったら目の前に退職がせまっているからだ。貯蓄の使い道はすべて決まっており、余裕資金にはまわせない。(家族持ちの方、ゴメンナサイ。でも現実です。)
● 小遣いをためて投資資金に
フツーの人にできることは、月々の小遣いや臨時収入、秘密収入からコツコツ貯めて株式投資の原資にし、上手くいったら小遣い倍増というプチ投資だ。この点で、収入に占める小遣いの割合が大きいシングルは、その気になれば使い道の決まった貯蓄とは別に「投資用基金」という余裕資金をつくるのは難しくない。株式投資でいい目をみようと思うなら、ちょっとやりくりなどして「投資用基金」をつくればいい。自分の好きなだけリスクをとっていいお金だ。この意味では、シングルは家族持ちよりリスクをとりやすい。
では、長期資金についてはどうだろう。どちらかというとシングルは長期的なプランを立てるのが苦手。結果として、資産に占める長期資金の割合が少なく、長期資金の一部(50%程度を勧めている)をリスク型の商品に投資するという戦略にのっとった「投資」は少ない傾向にある。
● 長期資金を意識すれば、よりリスクがとれる
つまり、小遣い稼ぎのための投資の割合は高いが、資産形成のための投資の割合が低い、これがシングルの傾向で、これではなかなか金持ちにはなれない。
しかし、今の楽しみを追求する「キリギリス型」でも、心配性の「ヒツジ型」でも、考えるべきは今後10年のプランだ(8月28日のバックナンバー参照)とすれば、その10年間に使う予定でないお金は、手元にある貯蓄も、毎月の積立分も長期資金である。上手にリスクを取っていきたい。資産の中の「長期資金」をきちんと意識して、利殖型商品にまわすことが、投資上手の秘訣だ。
● 安全資産もきちんと確保しておくこと
絶対に避けたいのは「シングルだから大きなリスクが取れる」と、預貯金の大半とか、特に数年内に使う予定のお金や予備資金まで、利殖型商品への投資に回してしまうことだ。
シングルの特性に、「気まぐれ出費」や「気まぐれ減収」がある。自分ひとりの都合や考えで、簡単に計画を変えられるので、借りたばかりのマンションを半年で引っ越してしまったり、上司と喧嘩した翌日に会社を辞めてしまったりする。この自由気まぐれな行動は、当然マネープランの変更を引き起こす。
そんなときでも、予備資金がちゃんと生活費の3か月分+あり、長期資金の半分が安全な商品に預けてあれば、気まぐれ出費・減収にも対応できる。急に引越しを思いついても、値下がりしている投資信託を不本意に売るという事態にならなくてすむ。
以上まとめると
1.小遣いから一部取り分けて「投資用基金」を作れば、好きなだけリスクをとれる。小遣いに加えて投資スキルアップも狙える。
2.資産のうち長期資金をきちんと意識すれば、その半分程度はリスクが取れ、将来の資産形成に大きくプラス。
3.リスクを取りすぎず、予備資金をじゅうぶん確保しておく。気まぐれ出費も大丈夫。
これを実行すれば、投資が思い通りに行かなくても、夢をあきらめたり縮小したりする必要はないので、シングルライフ、存分に楽しめますよ。
(ファイナンシャル・プランナー 中村芳子)
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