お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
Back to 退職後資金といきましょう。ずばり、あなたは退職までにいくら貯めたらいいか。今回はたくさん数字や計算が出てくるので、先に結論にいく。これだ。
1.退職金があるサラリーマンなら(片働きでも独身でも)、年収1年分を貯 めるのが目安。
2.退職金のないサラリーマンは年収の4年分を貯めなくてはならない。3.2人とも退職金がもらえる共働き夫婦は、ほとんど貯めなくても大丈夫。4.退職金のない自営業者カップルは年収の約7倍貯めなくてはいけない。
思っていたとおりという人は、時間がもったいないので、この先は読まなくてけっこう。え〜っ、どうして?と言う人は、読み進んでください。
●公的年金制度の復習
年金制度のおおまかなしくみをつかめば、入っている年金の種類によって、自分が退職後に生活費の何割程度の年金がもらえるかがわかる。現行制度をもういちどまとめると(ちょっと乱暴だが)こんな感じ。自分のところだけ読んでもらえば十分だ。
(ケース1)夫サラリーマン・妻専業主婦のカップル
→ 現役時代の手取り収入(以下収入)の約6割
(ケース2)夫婦とも会社勤めか公務員の共働きカップル
→ 収入の約5割(絶対額はケース1より多いが割合では少ない)
(ケース3)夫婦とも国民年金のカップル
→ 収入の約3割(世帯の年収500万円として)
(ケース4)会社づとめの独身者
→ 収入の約5割
現役時代の手取り収入は(これも乱暴だが)40歳くらいの収入を目安にしてほしい。退職後の生活費は、現役時代の6割くらいですむ(共働きなら5割)。住宅ローンがなくなり、こどものための出費がなくなり、生命保険料も払い終わり、将来に備えての貯蓄も必要なくなるから。
つまり現行では、(ケース1)(ケース2)のカップルなら生活費の大半を公的年金で賄えるというわけ。ところが、この給付水準が下がるのは確実なので、今40歳以下の人たちには、現行の2割減の年金額で将来の予定を立てることを勧めている(ただし、国民年金の給付水準は維持されそうだ)。
●公的年金だけではこれだけ足りない
とすると、公的年金だけで不足する生活費は下のようになる。%は現役の年収に対する割合、( )内は年収500万円(共働き夫婦は合計1000万円)の場合の金額だ。
ケース 1年あたりの不足額 15年分(65〜80歳)の不足額(1) 12% (年 60万円) 180%( 900万円)
(2) 10% (年100万円) 150%(1500万円)
(3) 30%※(年150万円) 450%(2250万円)
(4) 10% (年 50万円) 150%( 750万円)
※国民年金なのでそのまま
これに一律、生活費以外の出費(生活費の2年分)、予備費(生活費の2年分)をそれぞれ加えると(合計で年収の240%、共働きは200%)必要額は次のようになる。
ケース 生活費以外も含む必要資金額
(1) 年収の4.2倍 (年2100万円)
(2) 年収の3.5倍 (年3500万円)
(3) 年収の6.9倍 (年3450万円)
(4) 年収の3.9倍 (年1950万円)
●退職金がもらえる「幸運」な人は
退職金がもらえる人は恵まれている。ここから退職金を年収の○倍という形で差し引くと、国や会社に頼らず、自分で準備すべき金額の目安が出てくる。年収3年分の退職金(年収500万円で1500万円)がもらえるなら、自分で作る分は、ケース1で年収の1.2倍(600万円)、ケース2では年収の半分(500万円)、ケース4では0.9倍(450万円)となる。
この結果をまとめたのが本文の最初の結論だ。
ただし、以上の試算は公的年金をもらい始める65歳までは、貯蓄を取り崩さないという前提に立っている。それ以前に退職しても、再就職やアルバイトで年金をもらい始めるまで食いつなぐ必要がある。できない人は、これにプラス「年収3年分」以上の蓄えが必要になるので、その覚悟を。
(ファイナンシャル・プランナー 中村芳子)
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