お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
●退職資金の永遠のテーマ「インフレにも負けず、デフレにも負けず」
退職を60歳として、40歳から貯め始めると運用期間は20年、と考えるのは早計で、実際には60歳で引き出す金額はわずか、あるいはゼロ。まず、退職金を当面の生活費やそのほかの出費にあてるが普通だからだ。とすると、実際の運用期間は30年、40年以上に。これだけ長い期間をかけ、年収相当あるいはその数倍の資産をつくるとき、大切なことは、次の3つだ。
(1)インフレで目減りさせない
(2)デフレで目減りさせない(new!)
(3)その他の要因で大幅に目減りさせない
長期だから、わずか数%高い利回りで運用できれば、複利効果で20年後30年後の資産残高には大きな差がでる。月3万円を20年間の積立てるとき、利回りが1%なら797万円、4%なら1104万円。この差はすごい。
だから、少しでも高い利回りで運用したいのは山々だが、その前にこの3つの条件をクリアすることが大切。だって、高い利回りを狙えば狙うほど、その分大きなリスクをとることになってしまうから。
目減りさえしなければ、おいしい思いはできなくても「生活費が足りない〜」事態にはならないはず。
株式が活況の時は、できるだけ大金を株式市場に投入するのが効率的。さらに信用取引をやれば効果絶大。ところが有り金全部を株式投資にまわし、ある日を境に相場が下落一色になったら・・・・。日本ではたくさんの人がこれを経験し、アメリカもこの問題に直面している。
人間の心理は不思議なもので、強気相場の時は永遠に相場が上昇を続ける気がするし、下落が続くと底なし沼に落ちたような気持ちになってしまう。ムードに負けない強い心をもつことは、投資家の永遠の課題ですネ。
●分散投資しかない
今さらだが、金融商品の弱点をもう一度復習してみよう。
・預貯金は、インフレで目減りする。
・株式や不動産はデフレ(&不況)のときの下落が大きい。
・債券(固定金利型)は金利リスクと信用リスクがある。
・海外資産は変動率(ボラティリティ―)が大きい(為替リスク)。
その時々の状況に合わせた商品で運用できれば、最高だ。デフレの今は元本保証の預貯金で、株式相場が上昇に転じたら株式で、高金利のピークの時に長期の債券(固定金利)を買い、円安が進む時には海外資産にシフトする。
問題は、来年のこと、来月のこと、来週のこと、明日のことが予想できないというところにある。とすれば、やっぱり、資産を性質のちがうものに分散するしか方法はない。陳腐だが、上記3つの条件を満たしながら、長期に資産を作っていくには、これしか方法はない。と思う。
●1歩遅れでも、配分を変えることが大切
ふつうの人が資産の運用を考える時は、ディーラーでもトレーダーでもないのだから、今週、今月の株式相場や為替の動きを予想する必要はない(楽しみでやるのはいいけど)。
でも、大きな流れをつかみ、その流れにのっかることは必要。デフレが続いている今は、長期資産の半分以上を預貯金に退避させるのが正解だ。5年前にそれができていればずっとよかったわけだが、人より一歩遅れても、今、適切な対応ができれば十分合格。
高金利の時に7%台の国債や、6%台の郵便貯金に預けなくても、4%、5%台で預けていれば上出来だ。円安傾向が続く時に、途中で海外資産の割合を1割から2割に増やせば、円安ヘッジの効果は少し大きくなる。
時代の先を読んで、投資の方針や配分を変えることはできなくても(できないのが普通)、今の時代に合った方針・配分に変えていくことは、そんなにむずかしくないはず。
長期でつくる大切な資産だからこそ、「1歩遅れおくれでいいから見直す」を心がけていきたい。
それでも、このデフレ下でコツコツと株式投信の積立てを続け、ドル安が予想される中でも少しずつドルを買い続けるというのは、勇気のいる大切なことだと思います。何せ、いつ情勢がひっくり返るか、誰にもわからないんだもの。
次回から、具体的な「退職資金づくり」商品を評価していく。
(ファイナンシャル・プランナー 中村芳子)
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