退職後資金 ― いざ、貯めん(5)

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

退職後資金 ― いざ、貯めん(5)

外貨に投資しよう−3 

退職後資金づくりには一部外貨を入れたほうがいい。そして外貨を買う基本は「手数料の安いものを、少しずつ買って、長く持つこと」だとお話した。
外貨の入門は、MMFからとよく言われる。買うときも売るときも手数料がかからないので、かかるのは為替手数料だけ。いつでも売ったり、買ったりできる。積み立てもできる、たしかに手軽だ。日本のMMFよりは金利も高い。
だが今の金利差はドルで0.6%、ユーロで1.9%ときわめて小さい。往復の為替手数料をドルで約0.4%、ユーロで0.8%として(マネックスのケース)10年持ちつづけてもそれぞれ約6%、18%をこえる「円高」になると損が出てしまう(4%の金利差なら40%の円高まで大丈夫)。大幅な円安に備えるための保険としてはそれでもいいが、これでは面白くない。

少しくらい円高になっても、プラスにしたいのが投資家の心情だ。
方法は2通りある。MMFより金利が高い長期の債券(やその投資信託)を買うか、債券より高利回りがねらえる株式(やその投資信託)を買うかだ。長期で持てば、かなりの円高でもプラスになる可能性がある。

期間の長い債券や債券投資信託は、MMFよりもリスクが大きい(金利水準が上がると値下がりする)し、手数料も高めだ。それをカバーできる十分な金利差があることが、大切なポイントになる。

株式のリスクは債券よりさらに大きい。海外の株式や株式投資信託を買ってもいいのは、そのことがしっかりとわかっていて、円高・株安のダブル損にもじゅうぶんに耐えられる精神力を持っている人だ。

過去の統計によると、長期では株が債券に勝つ確率の方が高い。ただし、今のような景気後退・金利下落局面では債券が勝つ。MMFが株や債券より有利になるのは「株が上がらず、金利が上がる局面」で、きわめて限られた状況といえそうだ。

どれを選ぶか。ポイントは、あなたが資金づくりをどのくらいの長さで考えているかだ。株式や金利についての相場観をまったくもてないなら、MMFを選ぶのがいいかもしれない。

投資のために十分な時間があり、外国語が問題にならない人なら、個別の株式や債券を買ってもいい。が、ふつうの人は、日本で販売されている投資信託をつかうのが現実的だろう。投資信託の方が、個別銘柄よりリスクが小さく、小口で投資できるのは、海外ものでも同じだ。

さあ、あなたはどれにしますか? もちろん、予算がじゅうぶんあれば、債券(型投資信託)と株式(型投資信託)を組み合わせることができる。いずれも、積立てで(あるいは時期を分散して)買うのが基本だ。

(中村芳子 ファイナンシャル・プランナー)

マネックスからのご留意事項

「10年後に笑う!マネープラン入門」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧