番外編  生命保険の予定利率下げ どうすればいい?

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

番外編  生命保険の予定利率下げ どうすればいい?

今回は、ちょっと「退職後資金づくり」をお休みして、新聞をにぎわせている生命保険の話を。

どうやら、生命保険の予定利率の引き下げが、解禁になりそう。今の国会(〜6/18)で改正案がとおって保険業法が改正されれば、7月には「引き下げ」が実施される可能性も。私たちは、どうしたらいいのだろう。

●そもそも予定利率とは
予定利率というのは、保険に加入する時に、保険会社が契約者に約束する「運用利回り」のようなもの(ただし、死亡率など運用以外の要素も含まれる)。この利率をもとに、保険金額に対する保険料が決められる。だから、入っている保険の予定利率が引き下げられれば、結果(保険の種類にもよるが)、払う保険料が値上がりするか、保障の金額(保険金額)が減るかのどちらかということになる。

予定利率の特徴は、その保険契約が終わる(被保険者が死ぬとか、保険が満期をむかえるとか)まで、変らないという点だ。保険契約は、20代で契約して終身(死ぬまで)保障が続くものもあり、50年をこえる超長期になるのもめずらしくないが、それが「固定金利」というのは、考えてみればものすごいことだ。

ただし、新規加入するときの予定利率は、その時々の金利水準などによって見直される。1990年頃は5.5%だったのが、下がりつづけて、今は(会社によって違うが)1.5%。

●影響を受けるのは一部の人だけ
しかし、今は、保険会社といえども5%の運用をすることなど不可能。予定利率の高い保険は「逆ざや」となって、保険会社の収益を圧迫しつづけている。これを解消できれば、経営が危うくなっている生命保険会社も、収益が好転して営業をつづけられる。その方が、倒産して契約者全体に、ひいては生命保険業界全体に不利益をもたらすよりいいじゃない。ということで、予定利率引下げ案が登場してきた。引き下げ後の利率は、最低3.0%とうわさされている。 
知っておきたいのは、引き下げが実施されても、その保険会社の契約者全員が影響を受けるわけではないということだ。

影響を受けるのは、
1、年金保険、終身保険、養老保険など貯蓄タイプの保険に
2、予定利率3%※以上の時期(〜95年くらい)に
 加入した人に限られる。 

●あわてて解約するのがいちばんの損
多くの人が入っている「定期保険特約付終身保険(定期付終身)」は、終身保険部分があるといっても、全体の保障額の0.5〜1割という契約がほとんど。つまり、影響はほとんどないといっていい。

96年以降、予定利率3%※未満で契約した人や契約転換(掛けかえ)した人にも、引き下げは関係ない。それに、上記の1と2に該当する人でも、今の保険を解約してその後どうするかを考えると、結局はそのままにしておく方が、損が小さくてすむはず。利率引下げ後の保険でも、新規に保険に加入するより、また預貯金や国債にあずけるよりもずっと利回りがいいのだから。

いちばん愚かな行動は「引き下げのうわさをきいて、あわてて解約する」こと。「引き下げ後に、あわてて解約する」のもおなじことだ。

皆さんはぜったいに、「あわてて解約」だけはしないでください。
                 ※ 引き下げ後の利率が3%だった場合(ファイナンシャル・プランナー 中村芳子)

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