生命保険を考える(7)

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

生命保険を考える(7)

がん保険はどうする?

●1口入っておくと安心

医療保険はひとつは入っておきたいと話してきた。とすると、次の質問はこれだろう。「じゃあ『がん保険』は入ったほうがいいの?」

がん保険は医療保険の一種だが、保障の対象を「がん」にしぼっているのが特徴。がんの入院、がんの手術などで給付金がはらわれる。なぜ、こんな保険があるかというと、がんは他の病気にくらべて、治療期間が長くなりやすいとか、健康保険のきかない治療を受けることが多いとかで、高額のお金がかかるリスクがあるからだ。加えて、寿命がのびた分、がんにかかる確率は高くなっている。

医療保険は入院しなければもとがとれない、がん保険も、がんにかからなければもとがとれない。だが、月数千円の保険料をはらう余裕がある人には、1口だけ買うことをおすすめしている。まあ「オレは絶対にがんにならない」という自信がある人に、無理にはすすめないけど。


●給付日数に制限がないのがふつう

がん保険は、いろんな生命保険会社、損害保険会社が販売している。しくみもそれぞれ違うが、次の点はだいたい共通している。

1)がんで入院したとき、日数に応じて給付金がはらわれる
2)がんで手術したとき、手術の種類に応じて給付金がはらわれる
3)がんで通院したとき、日数に応じて給付金がはらわれる
4)がんと診断されたとき、診断給付金がはらわれる

医療保険とちがい、がん保険は1入院あたり、また通算の入院給付金の支払に上限がないものが多い。選ぶ時は、上限なしを確認したい。診断給付金は、1回だけはらわれる商品と何回でもはらわれる商品とがある。

ふつうの医療保険と大きく違うのは、契約が成立してから90日以内にがんが見つかった場合は、給付金が払われないという点だ。「もしかしてがんかも」と不安を覚えてから、がん保険を買っても手遅れ。不安のない今のうちに買っておこう。「持病があって、医療保険は断られたけど、がん保険は大丈夫だった」という話もあるので、該当する方は、一度問い合わせてみるといいだろう。
●終身タイプが安心

保険期間は「10年更新型」と「終身型」とがある。ほかの保険と同じで、10年更新型は、はじめの保険料は安いが、更新ごとに値上がりするので、年をとるほど保険料が高くなる。終身型は、はじめは更新型より高いが、保険料が変らないので、一定年齢以上長生きすれば、トータルの保険料は安くなる。「今は100円でも保険料を安くしたい」というのでなければ、はじめから終身型を買うのをおすすめする。


●がん特約という選択もある

医療保険に「がん特約」をつける方法もある(終身保険などにつけることも可能だが、解約する可能性のある保険につけるのは、一緒に特約の保障もなくなってしまうのでよくない)。ただし特約は、単品の「がん保険」ほど保障が充実していないのがふつう。保障内容にこだわりがある人は単品を、とりあえずひとつ保障があればいいやという人は特約を選ぶといいだろう。

でも、次のような勧誘には注意してほしい。

「今の保険には、がん特約はつけられないんです。今の保険を『下取り』して新しいタイプの保険に『切り替え』ればつけられますよ」

つまり、がん特約をエサに「転換」※をすすめるのだ。今の保険にがん特約がつけられなければ、単品のがん保険を買えばいい。別の機会にくわしく説明するが、「転換」をすすめる保険会社とは、さっさと手を切るべきである。

●勤め先やクレジットカードの保険をチェック
 
がん保険は、多くの会社で「団体加入」ができることが多い。クレジットカード会社が、会員向に団体割引で通信販売していることも多い。どちらも、個人で加入するより保険料が割引になっていてお得。チェックしてみよう。がん保険もほかの保険と同じで、1つだけ商品を見て決めるのでなく、複数の資料をとりよせて、なっとくできるものを選びたい。ほとんどの会社はHPで商品を紹介しているし、資料請求もできるので、さっそく今日にでもアクションを起こしてください。  

※生命保険の転換:今入っている保険をいったん解約し、解約返戻金相当分(正確には積立金)を、新しい保険の前払保険料(頭金)にあてるというもの。
(ファイナンシャルプランナー 中村芳子)

マネックスからのご留意事項

「10年後に笑う!マネープラン入門」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧