お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
どんどん変わる医療保険
ずっと医療保険の話をしているが、この保険、実に日々進化している。
とりあえず一個買っておくべきだし、商品選びの基本はかわらないが、新しい情報や流れをながめておくのはいいことだ。すごくいいのが出たら、古いのから乗りかえたっていい。最近の動きをちょっと見てみよう。
●損保の医療保険
医療保険というと、生保と思いがちだが、最近は損害保険会社が、新らしいのを次々と出していて、おもしろい。
1入院あたりの給付限度や、特約など、生保よりバリエーションが豊富なのが損保のひとつの特徴。契約から30年無事故なら保険料が安くなるというのも出た。後発だから、その分ひと工夫ある。
注目しているのは、損保お得意の「実損填補(じっそんてんぽ)型」だ。つまり、かかった費用をかかった分だけ払いますよというヤツ。今ある医療保険は、入院の日数や部屋のタイプ、治療の種類などによって、実際にかかった費用に足りなかったり、逆に20万円しかかからなかったのに100万円もらえたりする。これではね。
持論だが、理想の医療保険は、かかった費用を100%カバーしてくれるもの。入院した人を保険でもうけさせるものではない。かかった費用以上に給付金を払わないことで、保険料を安くできるはずだ。
この発想に一歩近づいたのが、ある外資系損保が出している「スーパー上乗せ健保」。入院日数に応じて給付金額が払われるのは他のと同じだが、治療費用の実費(食事代も含む自己負担分)や、差額ベッドを使った場合のみ差額ベッド代が払われるのが特徴。ここが「じっそんてんぽ」だ。
ただ、10年更新で10年ごとに保険料が上がり、保障が最長80歳までというのはいただけない。まだまだ改良してほしい。
●自由診療対応のがん保険
これまでとは、全く毛色の違う「がん保険」として、発売当時話題になったのがセコム損害保険の「がん治療費用保険」。これも「じっそんてんぽ」型だ。今の日本では、ふつうの病気のときは、健康保険を使うのが当たり前。わざわざ保険のきかない(つまり治療費が100%自己負担になる)自由診療の病院に行く人はほとんどいないだろう。
だが「がん」になると話は違うらしい。最先端のがん治療は、健康保険の対象にならないことも多く、そういう治療を受けたときの「高額な」治療費は全部自分もちとなる。最善の治療を望むと、自由診療に行きつくことが多いらしいのだが、自由診療はふつうの「がん保険」でも費用をカバーしきれない。
セコムの保険は、自由診療でも、健康保険を使った治療でも、自己負担分を100%払ってくれる仕組みだ。がんと診断されると、同社の協定病院を紹介してくれるのも心強い。聞くところによると、いい病院のいい先生にかかるには、コネや相当のお礼が必要なことがあり、コネも金もない一般人は泣き寝入りになることも多いらしいからだ。
こういったタイプの「医療保険」が生まれてくるのも、時間の問題かもしれない。期待したい。
●簡保の医療保険
簡保、つまり郵便局の保険には、「医療保険」はない。ただでさえ「民業圧迫だ!」と生保が声を荒げているのだから、医療保険は出せないだろう。ところが、ここが来年発売する予定の「定期付き終身保険」は、使いようによっては、終身型の医療保険になるのだ。
仕組みがめんどうなのでざっと説明する。死亡保障が500万円、60歳以降100万円というタイプの「定期付き終身保険」には、1日7500円までの医療特約が付けられる(ふつうの100万円の終身保険では1日1500円まで)。入院1日7500円、死亡100万円なら、けっこう手ごろな医療保険だ。1入院あたりの支払上限が120日というのもいい。終身保険部分の保険料が高めなのは、ちょっといただけないけれど。
これから生保との間でひともんちゃくあるかもしれないが、どうなることか。楽しく見物したい。
<ファイナンシャル・プランナー 中村芳子>
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