お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
遺族年金(1) 死んだ時は、国からこんなお金が出る
死んだ時に「自分は保険でいくら残すべきか」を考えるには、「遺族年金」を知っておく必要がある。国民年金や厚生年金に加入している人が亡くなったとき、その人の残された家族にはらわれるのが「遺族年金」だ。もちろん一定の条件があって、だれでもらえるわけじゃない。
今日は、このアウトラインを勉強してみよう。遺族年金で足りない分を、保険金で残せばいいのだからね。
1)国民年金からは、子のある妻に「遺族キソ年金」が払われる
夫が国民年金に入っていて(自分で月1万3300円の保険料を払っているか、収入が少ないなどの理由で手続きをして保険料を免除されているとき)、結婚しており、18歳未満の子があるときは、妻(と子)に「遺族基礎年金」が払われる。
籍を入れない「事実婚」でもOKだが、子どもがいることが絶対条件。子がない妻、子がいても18歳以上という妻は、国民年金の夫が亡くなっても年金はもらえない。
遺族キソ年金の額はつぎのとおり(1万円以下切捨)
妻と子1人 年102円
妻と子2人 年125万円
妻と子3人 年133万円
死別や離別で妻がなく、遺族が18歳未満の子だけのときは少し減る。 子1人 年79万円
子2人 年102万円
子3人 年110万円
亡くなった夫に妻と0歳と2歳の子があったとき、当初16年は年125万円、上の子が18歳に達した後の4月からは年102万円を2年もらえる。それで打ち切り。妻は2人目の子が高校を卒業すると、年金がもらえなくなる。けっこう薄情な遺族年金だ。18歳の4月といえば、大学入学で一生のうちイチバン教育費がかかる時期で、これから4年間が大変なのに。やはり、教育費分(大学にかかる費用)は、最低でも残しておかなければということになろう。
2)厚生年金加入の夫なら、「遺族キソ年金」+「遺族コーセー年金」
実は、国民年金と厚生年金加入者の遺族年金には、天と地ほどの開きがある。どれだけちがうか、目を皿にしてよく見て欲しい。
会社員など厚生年金加入者(給料から社会保険料を天引きされている人)は、国民年金にも加入している。国民年金は1階部分、厚生年金は2階部分と表現され、65歳以降にもらえる「老齢年金」もダブルでもらうことになっている。覚えてる?(2002年の10月30日号バックナンバー参照)遺族年金も「キソ」と「コーセー」の2階建てで払われる。
遺族キソ年金部分の、条件と金額は同じ。
ところが遺族厚生年金は「子がなくても」もらえ、しかも、のこされた妻が再婚さえしなければ「一生」もらいつづけることができるのだ。
金額(遺族コーセー年金額)は、夫の在職時の給料によって決まるのだが、なんという「不公平」とは思われないだろうか。私は怒りがこみあげてくる。
なぜなら、夫が国民年金という妻は、やはり国民年金に加入しており(ギム)、月1万3300円の国民年金保険料を「自分で」払わなければならない。収入がゼロでもだ。ところが、自分で保険料を払っているのに、子がなけりゃ遺族キソ年金はなし、あっても18歳で終わりとなる。
一方、夫が厚生年金の妻は、年収が130万円未満なら第3号被保険者で、保険料は払わなくてよい。なのに、夫が死んだら、遺族キソ年金に加えて一生「遺族コーセー年金」がもらえるのだ(子がなければ遺族コーセー年金のみ)。こんな不公平な年金制度があるなんて、驚異でしかない。
ちょっと興奮してしまったが、次回はその遺族コーセー年金の仕組みと金額をお話する。
<ファイナンシャルプランナー 中村芳子>
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