お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
必要な死亡保障額はいくらか−子のない夫婦の場合
前回まで遺族年金のしくみを大ざっぱに説明した。そういうわけで、加入している公的年金の種類、子がいるかいないか、子の年齢などで、遺族年金の額や期間が変ってくる。これを考えた上で、保険で買うべき「死亡保障の額」を決めるのは、けっこう大変だ。でも、やってみよう。
まずは簡単なケース。子どものいないケースから考えてみよう。
○子のない共働き夫婦 → 年収分くらいが目安
結婚してすぐ妻は専業主婦に、というのは最近は少ない。2〜3年は共働きを続ける、妻が妊娠するまでは続けるというのが多いし、もちろん妻もずっと働き続けるというケースもある。
共働きで子がなければ、夫にも、妻にも、原則死亡保障はいらない。
片方が亡くなっても、残された方は、今までどおり働けば生活できる。 ただし、夫婦の収入500万円ずつで計1000万円、家賃が月20万円という生活をしていた場合、片っぽが死んで収入が半減したら、家賃を払っていけなくなる。愛するパートナーに先立たれた上に、すぐに引っ越さなきゃいけないというのは酷だ。
せめて5年くらい同じ住まいで、同じレベルの生活ができる分くらいは残してあげたい。家賃の半分を5年分なら、このケースでは約600万円(月10万円×60ヶ月)。
夫が会社員なら、平均年収の1割程度の「遺族厚生年金」が残された妻に払われるのでその分を差し引ける。仮に年40万円とすると5年分で200万円。葬式代は、個人が残した貯金の範囲でやればいいというのが私の持論だが、保険で残したい人はその分をプラスする。
上のケースでは、
600万円(家賃負担の5年分)−200万円(遺族厚生年金5年分)=400万円
夫に必要な死亡保障は400万円となる。
このケースで妻が亡くなった場合は、遺族厚生年金は払われないので、必要保障額は家賃負担の5年分で600万円となる。
夫も妻も、だいたい自分の年収分を目安にすればはずれがないだろう。
ただし、すでに家を買って住宅ローンを借りている場合、借りている人が亡くなると、ローン残高は団体信用保険(ローンを借りるときに入るのが原則)で完済され、以降のローン支払がなくなり、ローンゼロの住まいが残る。 そうすれば、必要な死亡保障はゼロと考えていいだろう。
子のない共働き夫婦は、フロー収入が多いので、保険会社のいい「カモ」にされているケースは多い。収入が多いと、死亡保障も大きくないと錯覚させられるらしい。月2〜3万円なら軽く払えちゃうから。
「収入もおありだし、3000万円くらいの死亡保障は・・・」とすすめられて契約しちゃったら、払っている保険料の8割以上はムダということだ。 見直しをお勧めする。
○ 子どもが生まれたら、妻が仕事を辞めたら、保障を増やす。
子どものない共働きというライフスタイルは、時間がたてば変わることも多い。妻が仕事を辞めた、子どもが生まれたという時は、保障を増やす必要がある。その時は、それぞれのケースの考え方でもう一度試算して欲しい。
次回は子のいない片働き夫婦(妻が専業主婦)のケースを考える。必要保障額はもう少し大きくなる。共働きだったが、妻が仕事をやめた場合も、このケースで試算しなおして欲しい。
では、次回をお楽しみに。
(ファイナンシャルプランナー 中村芳子)
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