お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
前回は、子のない共働き夫婦の保障を考えた。今回は、子のない夫婦で妻が働いていない場合を考える。
○子のない片働きの夫は、妻に5〜10年分の生活費を残そう
共働きだったら、夫が亡くなっても、妻は仕事を続ければ生活にはそう困らない。ところが、妻が専業主婦だと話が違う。
夫が死んで、収入がなくなったから働こうと思っても、再就職は簡単じゃない。就職できたとしても、すぐに十分な収入を得るのはむずかしい。
看護婦などの専門職で、その気になればすぐ仕事は見つかるし、収入も十分という人は例外だろう。そういう人は、夫の死亡保障はほとんど必要ない。
妻が今働いていないなら、夫は妻に5〜10年分の生活費を残したい。そのくらいの年数があれば、夫に死なれた妻も気持ちを整理し、就職の準備をしたり、生活を立て直したりすることができるはずだ。
夫の手取り収入が500万円の場合で計算してみよう。
妻1人の生活費を大ざっぱに、夫の収入の6割とする。夫がサラリーマンや公務員なら、生前の平均年収の約1割の遺族厚生年金が払われるので、妻に残すべきは収入の5割となる。自営業なら6割だ。
つまり、必要保障額=
500万円×5割×5〜10年=1250万円〜2500万円(サラリーマン)500万円×6割×5〜10年=1500万円〜3000万円(自営業)
だいたい、年収の3〜4年分がめやすといえよう。
30歳の男性が1500万円の死亡保障を手に入れるためのコストは、期間10年の「定期保険」※で、2850円/月だ(通販の生命保険の例)。
愛情深い夫は「妻の老後の分の生活費まで保険金で残したい」と言うかもしれない。それもひとつの考え方だろう。
でも、女性が1人で働かず、残された保険金で「余生」を生きていくのは健全とは思えない。「生きる」ために、自分の能力を使って働き、社会と関わっていくのが、本人にとっても必要なことではないだろうか。それに夫と死に別れたら、再婚するのもまた、健全な生き方だ(妻が働けない事情がある場合は、それぞれ考慮して残す保険金を考えてください)。
○50代以降なら死亡保障はほとんどいらない
子のない夫婦、あるいは子がすでに独立した夫婦で、50歳を超えているなら、夫の死亡保障はほとんどいらない。サラリーマンや公務員の夫が亡くなれば、妻は遺族厚生年金に加えて中高齢の寡婦加算がもらえるが、金額は合計で年100万円を超える。
自宅を購入済なら、住宅ローンは団体信用生命保険で完済されるので、その後の支払はなくなる。会社からの「死亡退職金」もあるし、老後に向けての蓄えもある程度できているはず。つまり遺族年金と、貯蓄で十分生活できるのだ。 でも実際は、数千万円の死亡保障のために月数万円の保険料を払っている人も多い。月2万円のムダは1年で24万円、10年で240万円だ。
いらない死亡保障のために保険料を払うより、その分を退職のための貯蓄にまわすか、今の生活を豊かにするのに使うことをお勧めする。
※定期保険は、保険期間中に亡くなった場合にだけ保険金が払われる、いわゆる「掛け捨て」の保険で、満期金や解約返戻金はない。
(ファイナンシャル・プランナー 中村芳子)
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