お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
ファミリーの死亡保障/片働きのケース
いちばん大きな死亡保障が必要なのが、片働き(夫が収入を得る仕事をして、妻は家事・育児に専念、あるいはその逆)のケースだ。
一家の稼ぎ手が亡くなると、収入は激減する。ふつうは公的な遺族年金だけになる。
子どもをかかえている妻は、すぐには働けない。夫は、家族の生活費と、子どもが独立するための教育費を残す義務がある。それが、いったいいくらぐらいになるか考えてみよう。
○生活費は子が18歳になるまで
遺族の生活費をどのくらい残すかで、必要な保障額は全然変わってくる。生命保険会社のシミュレーションでよくあるのは、子が大学を卒業するまで+妻の老後(85歳くらい)までだ。これを30歳でシミュレーションしたら膨大な金額になるのは、明らかだ。
ここでは、子が18歳になるまでとする。2人以上子がいるなら、末の子で考える。それ以降は、妻は働き、自分の生活費分くらいは稼げるだろうという判断だ。
夫が亡くなった時の、遺族の生活費は、住宅ローンを払っているかいないかで、すこし変わってくる。夫の分の生活費コストが約3割、住宅ローンが2割と仮定すると、遺族の生活費はそれぞれ5割、7割となる。
<サラリーマンのケース>
サラリーマンの場合、大ざっぱに遺族年金(キソ+コーセー)が手取り年収の3割程度払われる。だから遺族年金でカバーできない生活費は、住宅ローンありの人で年収の2割、住宅ローンなしの人で年収の4割となる。
住宅ローン 遺族の生活費 遺族年金 自分で準備
あり 手取年収の5割 3割 2割
なし 手取年収の7割 3割 4割
手取り年収400万円で、子どもが生まれたばかりの頃、遺族のために残すべき生活費は以下のようになる
・例1 賃貸住まいで、住宅ローンなしなら
遺族の生活費×子が18歳になるまでの年数=
400万円×4割×18= 2880万円
・例2 住宅を買って、ローン返済中なら
400万円×2割×18= 1440万円
<自営業のケース>
自営業の場合は、遺族キソ年金だけなので、必要額はもっと増える。遺族キソ年金は固定額なので、大ざっぱに100万円として考える。
住宅ローン 遺族の生活費 遺族年金 自分で準備
あり 手取年収の5割 100万円 5割−100万円 なし 手取年収の7割 100万円 7割−100万円
上と同じ年収400万円で、自営業者の場合の、遺族のために残すべき生活費は以下のようになる
・例3 賃貸住まいで、住宅ローンなしなら
遺族の生活費×子が18歳になるまでの年数=
(400万円×7割−100万円)×18= 3240万円
・例4 住宅を買って、ローン返済中なら
(400万円×5割−100万円)×18= 1800万円
○ 子どもの成長で減る必要額
この考え方からも、計算式からもわかるが、遺族に残すべき生活費の額は、年々減っていく。
手取年収400万円のサラリーマン、30歳で1人目が、34歳で2人目が生まれ、36歳で家を買った場合の生活費必要額は、だいたい次のように変わる。単位は万円。年収は少しずつアップすると仮定して試算した。
30歳 33歳 34歳 36歳 42歳 48歳 52歳 2880→2560→3240→1600→1100→ 440→ 0
以上は、生活費だけなのでこれに、大学の教育費をプラスしたい。自宅か自宅外か、私立か国公立か、文系か理系か医科歯科系かで違ってくるが、ひとりあたり500〜1000万円を子が18〜22歳くらいまで手当てすればいい。 上のケースで1人700万円ずつ学費をプラスすると、下のようになる。
30歳 33歳 34歳 36歳 42歳 48歳 52歳 3580→3260→4640→3000→2500→1140→ 0
さらに、以上の金額から、貯金や死亡退職金などで手当てされる額を引いたのが、保険で準備したい金額。ちょっとめんどうくさいが、保障をムダなく手当てするために、ぜひ自分で計算してみてほしい。
ファイナンシャル・プランナー 中村芳子
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