生命保険を考える(15)

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

生命保険を考える(15)

ファミリーの死亡保障/片働きのケース

 いちばん大きな死亡保障が必要なのが、片働き(夫が収入を得る仕事をして、妻は家事・育児に専念、あるいはその逆)のケースだ。
 一家の稼ぎ手が亡くなると、収入は激減する。ふつうは公的な遺族年金だけになる。
 子どもをかかえている妻は、すぐには働けない。夫は、家族の生活費と、子どもが独立するための教育費を残す義務がある。それが、いったいいくらぐらいになるか考えてみよう。

○生活費は子が18歳になるまで

 遺族の生活費をどのくらい残すかで、必要な保障額は全然変わってくる。生命保険会社のシミュレーションでよくあるのは、子が大学を卒業するまで+妻の老後(85歳くらい)までだ。これを30歳でシミュレーションしたら膨大な金額になるのは、明らかだ。
 ここでは、子が18歳になるまでとする。2人以上子がいるなら、末の子で考える。それ以降は、妻は働き、自分の生活費分くらいは稼げるだろうという判断だ。

 夫が亡くなった時の、遺族の生活費は、住宅ローンを払っているかいないかで、すこし変わってくる。夫の分の生活費コストが約3割、住宅ローンが2割と仮定すると、遺族の生活費はそれぞれ5割、7割となる。

<サラリーマンのケース>

 サラリーマンの場合、大ざっぱに遺族年金(キソ+コーセー)が手取り年収の3割程度払われる。だから遺族年金でカバーできない生活費は、住宅ローンありの人で年収の2割、住宅ローンなしの人で年収の4割となる。

   住宅ローン   遺族の生活費    遺族年金  自分で準備
   あり      手取年収の5割   3割    2割
   なし      手取年収の7割   3割    4割

 手取り年収400万円で、子どもが生まれたばかりの頃、遺族のために残すべき生活費は以下のようになる

 ・例1 賃貸住まいで、住宅ローンなしなら
  遺族の生活費×子が18歳になるまでの年数=
  400万円×4割×18= 2880万円

 ・例2 住宅を買って、ローン返済中なら
  400万円×2割×18= 1440万円

<自営業のケース>
 自営業の場合は、遺族キソ年金だけなので、必要額はもっと増える。遺族キソ年金は固定額なので、大ざっぱに100万円として考える。   
      
   住宅ローン   遺族の生活費    遺族年金  自分で準備
   あり      手取年収の5割   100万円 5割−100万円   なし      手取年収の7割   100万円 7割−100万円
 上と同じ年収400万円で、自営業者の場合の、遺族のために残すべき生活費は以下のようになる
 
 ・例3 賃貸住まいで、住宅ローンなしなら
  遺族の生活費×子が18歳になるまでの年数=
  (400万円×7割−100万円)×18= 3240万円

 ・例4 住宅を買って、ローン返済中なら
  (400万円×5割−100万円)×18= 1800万円

○ 子どもの成長で減る必要額
 この考え方からも、計算式からもわかるが、遺族に残すべき生活費の額は、年々減っていく。

 手取年収400万円のサラリーマン、30歳で1人目が、34歳で2人目が生まれ、36歳で家を買った場合の生活費必要額は、だいたい次のように変わる。単位は万円。年収は少しずつアップすると仮定して試算した。

 30歳  33歳  34歳  36歳  42歳  48歳  52歳  2880→2560→3240→1600→1100→ 440→ 0

 以上は、生活費だけなのでこれに、大学の教育費をプラスしたい。自宅か自宅外か、私立か国公立か、文系か理系か医科歯科系かで違ってくるが、ひとりあたり500〜1000万円を子が18〜22歳くらいまで手当てすればいい。 上のケースで1人700万円ずつ学費をプラスすると、下のようになる。
 30歳  33歳  34歳  36歳  42歳  48歳  52歳  3580→3260→4640→3000→2500→1140→ 0

 さらに、以上の金額から、貯金や死亡退職金などで手当てされる額を引いたのが、保険で準備したい金額。ちょっとめんどうくさいが、保障をムダなく手当てするために、ぜひ自分で計算してみてほしい。

ファイナンシャル・プランナー 中村芳子

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