生命保険を考える(18)

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

生命保険を考える(18)

新登場の自由設計型保険って何だろう???

○貯蓄もできる、多機型

 今、生命保険には、2つの流れがある。
 ひとつは、通販の保険に代表される、シンプルで安い保険だ。死亡保障がほ しいなら「定期保険」。入院の保障がほしいなら「医療保険」。別々に、必 要な金額と期間を自分で決めて買う。解約返戻金や満期金のない「掛け捨て 型」なので、保障に対応するコストがわかるのもよい。
 もうひとつの流れもある。
 ひとつの保険で、死亡保障も医療保障も貯蓄も、まとめてめんどうみましょ うというヤツだ。自由設計型保険とか、ユニバーサル保険と呼ぶ。ちょっと は話題になったのだが、見聞きしたことある?
 多機能な分、仕組みはちょっと複雑で、対面販売が基本だ。ライフステージ によって必要な保障の種類や金額が変わるので、担当者が定期的に見直しア ドバイスをしてくれることになっている。
 自由設計型とユニバーサルは、よく似ていて、何がどう違うのか、販売して いる保険会社や生命保険文化センターなどに問い合わせても、どうも明確な 定義はないらしい。ここでは、両方を合わせて自由型と呼ぶことにする。 
○貯蓄部分と保障部分がすっきり分けられている

 今までも養老保険や終身保険など、貯蓄+保障の保険はあったが、払う保険 料のうち、いくらが貯蓄に回り、いくらが保障のコストになっているのか、 不明だった。お金(解約返戻金)がいくら貯まっているのかも、いちいち問 い合わせないとわからなかった。
 自由型は、専用の口座があり、払った保険料はまずここに入る。そこから、 保障のためのコストが払われる。払う保険料が2万円で、死亡保障のための コストが7000円、医療保障のためのコストが1500円なら、
 計8500円が引かれ、残り1万1500円が口座に残って貯まっていくし くみだ。
 口座残高は、定期的に報告されるし、いつでも簡単にチェックできる。ここ からお金を引き出すこともできる。

○保険が自由に見直せる

 自由を名乗っているのだから、保障を自由に組み立て、見直せるのがウリだ。 従来の、特に日本社の保険は、仕組み上は見直しができても、会社の規定な どで、自由な保障の増額・減額・追加ができないことが多かった。その自由 度がかなり高くなった。
 実際には、保険会社によってまだ様々な決まりがあって、死亡保障500万 円は小さすぎて契約できない、この特約はつけられないなど、不自由な部分 もある。
 なお、保障コストをまかなえる口座残高があれば、保険料の支払いを一時休 むことや、多めに払って残高を増やすこともできる。ここも自由だ。

○問題は、口座の運用パフォーマンスだ。

 別々にしたほうがすっきりする保険と貯蓄を、あえて一緒にするメリットが あるとすれば、別々より、保険料が安くなるか、貯蓄の利回りが高くなる場 合だ。ざっと見たところ、保険料は安くない。では利回りはどうだろう。 多くの自由型の口座は、変動金利タイプで、最低利率が決まっている。だい たい1.2〜1.5%だ。ただし、これは「予定利率」で、口座に入れたお 金がこの利率で運用されるわけではない。ある保険会社の1.5%を預貯金 利率に換算すると、0.2%程度だった。今のところ「魅力的」とは言いが たい。
 まだ1社だが、運用先を変額年金のように複数の投資信託から選ぶところも ある。変額年金はまとまった金額を払い込むタイプが主流だが、これなら毎 月保険料を払い込んで積み立てができる。ちょっと面白い。
 今までの低金利、株式相場低迷(最近だいぶ元気になったが)では、「利回 り」メリットは出にくいが、これからどうなるか、注目しているところだ。
○信用できる営業職員に「全部おまかせしたい」人向け

 自由型の本当の特徴は「インフレに強い」ことだ。まめに保障を見直すこと ができるので、保障が足りなくなることもないし、貯蓄が変動金利または株 式投資信託だから、目減りしにくい。
 でも、だったら、運用はインフレに強い投資信託でやり、保障を定期的に見 直せばすむことだ。
 「忙しいから保険は、一括して誰かにたのみたい。少々高くてもいいから」 という人には、悪くないかもしれない。ただし、優秀で良心的な営業職員が、 責任もって最後までめんどう見てくれれば、という条件がつく。
 今、身の丈に合う保険を持っていれば、それをやめてまで、このタイプを買 うことはないだろう。

ファイナンシャル・プランナー 中村芳子

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