20代からの差をつけるマネープラン(8)

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

20代からの差をつけるマネープラン(8)

○今年の提案 5つめの口座

 お金上手な人は、管理がうまい。
 収入が多くて管理が下手な人より、多少収入が少なくても、管理が上手い人のほうが、なんとなく優雅でスマートな生活を送っているものだ。

 上手なお金の管理のために、目的別に4つの口座を持つことを勧めている。 ひとつめは、生活口座
 ふたつめは、緊急費口座
 みっつめは、特別費口座
 よっつめは、殖やす口座だ。
 これらの口座については、次回以降、もう少し詳しく説明する。
 今日提案したいのは、5つめの口座だ。

○4つの口がある貯金箱?
 
 先日、あるコラムを読んでいたら、以前アメリカでコインの入れ口が4つある貯金箱が人気を呼んだそうだ。中も4つに仕切られている。つまり、もらった小遣いを、目的に応じてそれぞれの口から貯金箱に入れるのだ。
 ひとつは、使うお金。
 ふたつめは、貯めるお金。
 みっつめは、投資するお金。これは、小学校で株式投資プログラムを持っているところもあるというアメリカらしい。
 そして4つめが、寄付するお金だ。

 先日、アメリカの独立宣言文を読む機会があったが、そこには「神」のもとでの自由と平等がうたわれていた。理想は風化して世俗化が進んでも、聖書の思想は、アメリカの文化に影響を与えつづけているのだろう。
「旧約聖書」は、キリスト教だけでなくユダヤ教やイスラム教の聖典でもあるが、ここには寄付(献金)が善行としてでなく、義務として書かれている。 自分の収入の一部を、自分や家族のためだけでなく、他人の必要のために使うことは、人として当然するべきことで、それを行うことによって神からの祝福があるというのが、旧約聖書のの献金に関する教えの、私なりの要約だ。 一定の宗教を持つ人なら、その宗教団体やその団体が運営するNPOなどに寄付するのが自然だろうし、そうでない人は、自分の価値観に合う慈善事業などへの寄付するのが納得できるだろう。

○いくら寄付すればいいか

 貯蓄・投資するお金は、年収の1割が目安とつねづねお話している。
 では、寄付はいくらしたらいいだろう。やっぱり目安が欲しいね。
 日本には、もともと寄付するという習慣がないので、寄付体験は赤い羽根と年末助け合いにコインのみ、という人も多いだろう。そういうビギナーには、「まず1%」を提案している。
 月30万円の給料の中から3000円、70万円のボーナスの中から7000円。毎回数千円単位だが、年間では50,000円になる。ちょっともったいない気もするが、できない金額ではない(よね?)。

 スマトラ島沖地震・津波のあるNPOの広告を見ていたら、2万7000円で、家族5人が暮らせる仮設住宅が1つ建つそうだ。このところの円高で、2万5000円で1軒になったかもしれない。ほんとに円パワーはすごい。あなたが年間1%分を寄付するだけで、家が2つ建って家族10人が生活できるのだ。

 先の貯金箱を輸入しても、日本で売れるまでに、まだ数年はかかりそうだ。 こどもに教えるには、大人が実践していなければ、むずかしい。投資については、だいぶ明るくなってきた。20代読者が親になる頃には、投資未経験者は、ずいぶん減っているに違いない。母親が小学生の娘に、父親が中学生の息子に株式や外貨について、失敗談を交えて教える日も遠くないだろう。
 だが寄付は、もしかしたら、投資よりずっとずっと遅れているかもしれない。 読者の中にはマネックス・ポイントから寄付した人もいるだろう。でも、もう一歩踏み出してみない?

 自分の楽しみや、自分の将来のための蓄えを少し削るには、痛みがともなうけれど、その痛みはきっと消費や投資では得られない満足をもたらしてくれる。そしてきっとクセになる(ちょっとマゾっぽいか?)

○寄付のための専用口座を

 貯蓄・投資上手な人は、天引きや自動積立などのシステムを使って、労せず貯める・殖やすを実践している。忙しい毎日なのだから、手間隙がかかることは続かないのだ。寄付も同じ。寄付する気持ちはあっても、めんどうだと、つい行きそびれてしまう。ので、ここでもお勧めしたいのは自動寄付システム。
 ユニセフやワールド・ビジョン、日本フォスター・プラン協会などには、一度手続きをすると、毎年あるいは毎月一定額が自動引き落とし(寄付)されるシステムがある。寄付の使途を特定しない方法と、地域や目的(子供の教育など)と決める方法とがあるのがふつう。自分が興味がある分野や団体をネットで調べてみよう。

 生活口座から引き落としてもいいが、おすすめは、寄付口座を別につくり、月のあるいは年間の寄付目標額分をそこに振り替える方法だ。つまり寄付専用の5つめの口座を作るのだ。株式投資の儲けの一定割合を、ここに入れてもいい。

 私は、郵便局の口座を寄付専用にしている。毎月の収入から一定額をそこに入金し、約半分を決まった機関に自動送金する。差額が貯まってある程度の額になったら、年に数回「ここ」と思ったところに寄付する。これが私のアロケーション。給料から自動寄付、ボーナスから任意寄付としてもいい。
 郵便局なら、いくつかのNPOには手数料無料で送金できるし、手数料がかかる場合も130円と安いのがうれしい。
 
 で、読者への最後のチャレンジ。貯蓄や投資は10年後20年後の自分へのプレゼントだ。収入の最低1割が目標。寄付は「今」助けを必要としている人へのプレゼント。1%からスタートしてやがて収入の1割まで増やしたい。どう?-----
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