お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
<20代で考える老後(4)>
○日本の年金制度を変えよう!!!
現実的な老後のマネープランを考えるには、自分の国の年金制度を前提にしなくてはいけない。当然だ。ではあなた、日本の年金制度の基本的な仕組みがわかっていて、自分の将来の年金額、だいたいでもわかっているだろうか? 相談や取材で出会った多くの20代、30代の人たちは「どうせ自分たちのときには年金はもらえないから」「年金額はゼロのつもりで老後に備えるつもり」と語っていた。これって、本当に賢明な態度だろうか?
10年ほど前「環境ホルモン」の問題が真剣にあつかわれるようになり始めた頃、アメリカ人専門家のメッセージを聞く機会があった。どういう問題かはわかった。しかし自分たち、特に次の世代を守るためにはどうしたらよいかと質問したら「国会議事堂の前でデモをしなさい」という答えが返ってきた。「えっ・・・?」
一瞬冗談かと思ったが、彼女の目は真剣だった。
結局「デモ」はできなかったが、ひとつ目が開かれた。それまでは、与えられた環境や制度や状況の中で、よりよい結果を出すために「どうするか」「どう生きるか」を考えて行動してきたが、場合によっては、環境や制度や状況そのものを変えるために行動すべきだということがわかったのだ。
今の年金制度がこうだから、こういうマネープランを作りましょう。というのは、確かにスタンダードだ。でも、でも、でも、今の年金制度のままで本当にいいの?
日本の年金制度は、調べれば調べるほど矛盾だらけで不公平だ。
たとえば、ケース(1)
20代後半のカップルと赤ん坊の3人家族。月収25万円の夫の給料で月8万円の家賃を払い、妻も子も養っている。毎月約3万6000円の厚生年金保険料(会社負担分含む)を払っている。
60代後半の夫婦。住宅ローンは終わり、家と土地、3000万円の金融資産があり賃貸アパートも持っている。2人で合計月30万円以上の年金をもらっている(+家賃収入あり)。
今の世代間扶養――つまり20〜40歳の人たちが保険料を払い、65歳以上の人たちがそこから年金を受け取る――という仕組みでは、貧乏な20代が払った保険料を、裕福な60代が受け取るということになっている。この例では、年金制度が貧富の差を拡大しているのだ。
たとえば、ケース(2)
サラリーマンの夫を持つ専業主婦のAさん。第3号被保険者なので国民年金保険料を払う必要はない(夫が妻の保険料を払っているわけではない)。だが、65歳からは自分名義の国民年金(老齢基礎年金)を受け取り、その後夫が亡くなれれば、生きている限り遺族年金(遺族厚生年金)を受け取ることができる。保険料ゼロに対して、驚くほど手厚い保護だ。
自営業の夫を持つ専業主婦のBさん。自分は無収入だが、国民年金保険料は夫と同じ額だけ(今なら月13,580円)払わなくてはいけない。これを40年間きっちりはらって、Aさんと同額の老齢基礎年金を受け取ることができる。しかしその後夫がなくなっても、遺族年金はまったく払われない(国民年金からは、18歳未満の子がない妻には遺族基礎年金は払われないため)。
これらは、氷山の一角。調べれば調べるほどおかしいのが日本の年金制度だ。
親の世代よりもたくさん年金保険料を払って、もらえる年金額がずっとずっと少ない制度って、どう考えてもおかしい。裕福な老人を、収入の少ない若者が養わなきゃならないなんておかしい。結婚する相手の職業で、保険料や年金額がちがうなんて不公平すぎる。私たちは、絶対にこの制度を変えるべきなのだ。
誰が変えるべきか。
今の60代以降の「既得権者」に期待するか?
なんとか逃げ切ろうとしている、団塊世代に期待するか?
男性だけにまかせていいか?
それとも???
郵政民営化の問題は、私たちに勇気と希望を与えてくれたと思う。今まで当たり前だと思ってきたこと、変えられないと思ってきた制度、根強い反対運動があるものでも、変えられるということを教えてくれた。次は年金問題だ。
20代は、自分個人の老後マネーだけを考えていてもラチはあかない。一緒に立ち上がって、自分たちのため、次の世代のために日本の年金制度を変えていこうよ。
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