20代からの差をつけるマネープラン(28)

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

20代からの差をつけるマネープラン(28)

<お金と時間の関係(2)>
 お金と時間との関係、法則について考えている。今日は「時間の投資」について。

●すぐ回収できる投資、ずっと先に回収する投資

 時間を何かに投資すると、ふつうは見返りがある。仕事をすれば給料・収入という形で返ってくる。これはすぐに回収できる種類の投資。毎日残業続きで、起きている時間の大半は働いているという前回のKさん(25歳)は、時間を投資して、給料、残業代という形で回収しているわけだ。この投資で、もちろん仕事スキルも身につく。

 20代で、時間を仕事に投資するというのはとても大切だ。この時期を逃すと、たとえば30歳を過ぎてから仕事につこうとしても、仕事スキルがないため難しくなることが多い。仕事への投資不足の結果である。

 いっぽう今投資したものが、ずっと先になって返ってくるというケースもある。
 
 新聞を読んだり人と話したり、街をあるいたり世の中を観察したりすることで、社会の流れを感じとり先を読む力。これは、もっぱら仕事をはなれた毎日の生活の中で身につくものだ。これは、簡単にいえば「自分で考える力」かもしれない。「自分で感じる力」でもある。これを身につけるには、仕事以外の「生活時間」をもつ必要がある。

●仕事のコミュニケーション力は場違いになることも

 人とコミュニケーションする力。ある種の仕事を通しても、コミュニケーション・スキルは伸ばせるが、仕事以外の場面では場違いになってしまうことが多い。
 デートの場で、今かかわっているプロジェクトをいかに熱く語っても、相手は冷めていくだけだ。恋人や家族、友人とおしゃべりするとき、理論的な正しさや結論を求めると、煙たがられてしまい会話は続かない。
 仕事ぬきで、性別、年代、文化、国が違う人と通じ合える能力は、仕事以外の場で、いろいろな人と出会い、いろいろな状況を体験しないと伸ばせない。これを「コミュニケーション力」と呼ぼう。語学力も、コミュニケーション力の一部だ。

 それから「自分で動く力」。仕事はどちらかというと、与えられた課題をこなす力が求められる。でも「自分で考え」て、自主的に「実行にうつす力」は仕事とはちょっと違う。たとえば恋愛することやプロポーズすること。仕事を変えたり違う地域、国に引っ越すこと。行動をおこす前にあきらめてしまう人、なかなか行動にうつせない人は、この力が不足している恐れがある。要注意だ。
 そして「体力」。20代は高校や大学までの「筋肉貯金」が残っているので自覚しにくいが、体力づくりに時間を投資しないと筋力は確実にへる。体力が弱ってくれば、仕事も恋愛も思うようにいかなくなる。毎日ジムに通って筋肉ムキムキになる必要はない。週に数回1〜2時間を体力に投資すれば、効果はすぐに見えなくても「現状維持」という結果をもたらしてくれる。20代の体力を30代40代と持ち続けられれば、すごいことだ。
 
● 自分を価値ある存在と認めることが第一歩?

「自分で感じ、考える力」「コミュニケーション力」「自分で動く力」「体力」を持つには、時間を(仕事以外のことに)投資しなければいけない。しかも、投資の成果をすぐに回収できるわけじゃない。でもその投資のおかげで、友人を得、いくつかの恋愛をして結婚をし、仕事を発展させ、自分らしい生活を健全に続けていけるなら、投資はお金に換算できない価値を生み出したことになる。

 お金は、今のために使うお金と将来のために貯めるお金とに配分するバランスが大切。時間も、今すぐのためと将来のために使う時間のバランスが大切だ。
「愛と心理療法(原題:The Road Less Traveled)」の著者M.スコット・ペックによると、自分を価値ある存在だと感じている人は、自分の時間を注意深く、できるだけ効果的に使おうとするそうだ。それには、子どものころ無条件で愛され受け入れられたかという経験が関係しているという。(この本は日本ではあまり知られていないが、28年前に発行され欧米ではベストセラーになり今も売れ続けている。日産自動車のゴーン氏も愛読しているというすばらしい本だ。ぜひ、読まれることをお勧めする。)

 自分の時間を満足に使えない人は、もしかしたら、ここのところに問題を抱えているかもしれない。もしそうなら自分を価値ある存在だと認めるために、自己像を修正する必要がある。そのために、ちょっと勇気とお金を出して「カウンセリング」を受けてみるのも一法かもしれない。これも立派な投資である。
 日本ではカウンセリング(心理療法)を受けることは、まだ一般化していない。アメリカでも28年前はそうだったらしいが、今ではごく普通のことになっているとのこと。FP相談も数年前までは特別な人だけのものと思われていたが、最近は独身女性や結婚したばかりのカップルが気軽に相談に来る。あと5年もすれば、カウンセリングを受けることも、ごくふつうのことになりそうだ。-----
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