株式投資のスタンス 「小遣いかせぎ」vs「資産づくり」(1)

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

株式投資のスタンス 「小遣いかせぎ」vs「資産づくり」(1)

本コーナー今年最初の回にあたって、「株式投資」のスタンスをもう一度考えたい。

 昨年は株式相場が約4割上昇という、投資家にとっては本当にめでたい年だった。長らく購入価額を割り込んでいた投資信託の価額があれよあれよと回復し、あっという間に2倍近くになるという経験もさせてもらった。投資信託続けてよかった!
 2000年に株式手数料が自由化されてネット証券がスタートしたにもかかわらず、投資家の裾野はなかなか広がらず、投資信託の残高も増えなかった。しかし「株価の上昇」という不可欠で強力な追い風が吹いてきたことで、2006年は日本の株式投資が大きく様変わりすることになりそう。期待したい。
 これだけ環境が整ってくると、去年まではマネックスメールを読むだけだった読者や、昔からの株を持ち続けていただけという投資家も、そろそろ本格的な投資デビューをねらっているのではないだろうか。
 これから本格的に始める方も、すでに株式投資を経験済みの人も、株式投資のスタンスを(もういちど)きちんと確認しておきたい。

 ひとつめは、短期(数週間〜数ヶ月)の売買を繰り返して利益をあげることをめざす投資法。これを「小遣いかせぎスタンス」と名づける。
 ふたつめは、同じ銘柄を長期(5年〜数十年)持ち続けることで、資産全体で高い利回りをねらうという投資法。これを「資産作りスタンス」と呼ぶ。 1日〜数日のうちに信用取引なども利用して売買を繰り返すというデイトレードも投資法のひとつだが、ふつうの個人投資家には向かない(すすめない)のでここでは除外する。

 「株式投資を始めたい」という人の話を聞くと、イメージしているのはほぼ例外なく「小遣い稼ぎスタンス」だ。「興味はあるけどなかなか始められない」という人も同じ。
 「小遣い稼ぎ」は、少しまとまった金額で短期に2〜3割の儲けを狙う投資法。これはこれで悪くない。が、リスクが高い。友人の話や雑誌やHPに載っている投資経験談は儲けた話ばかりだが、多くの投資家は「この上昇相場でどうして損するの?」というような失敗談を隠しているものだ。
 理論的には、短期であげた利益を再投資して複利効果で殖やせば、長期でも「資産づくりスタンス」より利回りが高くなるのだが、なかなかそうならない。途中の失敗でそれまでの利益を食ってしまったり、儲けを使ってしまい再投資しないためだ。
 「小遣いかせぎ」でいくなら、リスクが高いこととなかなか殖えないことを納得した上で、儲けを楽しく使う、投資を楽しむと割り切ることがポイントだ。
 投資に回すお金は、生活費や予備費、将来のため使い道が決まっているお金を取り分けた上で、50万円なら50万円と上限を決めて、それを超えないようにすることが大切。投資がうまくいくと、使い道が決まっているお金までを投資に回してしまい、そこでドーンとやられてしまう、ということになりかねない(バブルのとき多くの人が経験した)。

 「小遣いかせぎ」の楽しさは、比較的すぐに結果が出るということ。これがいい結果ならこんなにうれしいことはない。50万円の元手で年2割値上がりすれば10万円の小遣いが手に入る。ちょっとした海外旅行にもいけるし、欲しかったコートや靴も買える。株主優待や配当のおまけもつく。これこそ株式投資の楽しみと感じる人も多いだろう。

 ただこれまで多くの投資家を観察してきて、万人が「小遣いかせぎスタンス」に向くわけではないと感じている。「小遣いかせぎ」で成功するには、投資にかけられる時間がたっぷりあること、株式投資が好きで銘柄を調べたりチャートを分析したり、さまざまな投資法を研究したりとその過程そのものが楽しめること、という要素が欠かせない。

 だから何度か株式を買ったり売ったりしたものの、思ったように成果が上がらない、頻繁に株価をチェックするのが負担、銘柄を調べるのが苦痛、というように「自分は投資に向かないかも」と感じる人がいてもおかしくない。条件がととのっていて性格的に向いている人だけが、この投資法を楽しめばいいと私は考える。そういう人はどうぞこの上昇相場で大いに楽しみ、大いに儲けてほしい。

 でも「小遣いかせぎ」に向いていないからといって、株式投資そのものを止めてしまうのはよくない、もったいない。時間的にも精神的にもずっと負担の小さい「資産づくりスタンス」でのぞめばいいのだ。次回はこの「資産づくりスタンス」を考えてみよう。

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