投資のはじめ方、学び方(3)

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

投資のはじめ方、学び方(3)

投資を始めたいと思っているのに、なかなか始められない人に。その原因と対策を考えている。

 前回は「以前痛い目にあって敬遠しているなら、そのときの原因と対策を考えてみよう」「いろいろな情報に混乱させられている人は、自分なりの情報スクリーニング法を確立しよう」とお話した。簡単ではないが、やってみる価値はある。今日は、始められない原因の6番目「カリキュラムがととのっていない」にいってみよう。

○ 学校での投資教育は期待できない

 昨今は「学校でお金のことや投資のことを教えるべきだ」という声が高まっている。もっともだ。でも、ゆとり教育で学力が落ちた、授業時間が足りない、小学校から英語を教えるべきだという議論のある小中学校のカリキュラムに、「お金・投資教育」が入り込める隙は、今のところなさそう。受験勉強優先の高校でも無理だろう。

 何より、学校なんてとっくの昔に卒業してしまったし、だいたい本当に大切なことは、学校では教えてもらえない。デートの誘い方とか、相手を傷つけない断り方とか、生涯の伴侶の選び方とか、ライフワークの見つけ方とか、人を殺してはいけない理由とか。どうやらこういう大切なことは、結局は自分で、痛みを体験しながら身につけていくものらしい。

 投資も、学校では教えてくれない大切なことのひとつには違いない。公の機関に頼ることはできないので、自分で学んでいかなければいけないのだ。覚悟を決めよう。

 世の中には「投資教育」の講座もたくさん出てきたけれど、玉石混交の感がある。特定の商品や投資法だけを教える片寄った学びは、危険なこともある。しっかり見極めたい。それに、自由時間がたっぷりある人、都心に住む人は講座に出かけやすいが、そうでない人も多い(Eラーニングなども普及してくるだろうが)。ここでは講座に出られない人のための「自習」法を考えたい。
○ 自習の方法は、水泳と同じ

 学ぶ方法は大きく2つ。理論と実技だ。まずいえるのは、実技からではなく理論から入るべきだということ。水に入ったことのない人が、どうしたら泳げるようになるだろうか。いきなり海に飛び込むのは自殺行為だ。

 まず、水泳のテキストを買ってきて読む。どんな泳法があるか見てみる。現実的な目標(まず25メートル泳げるとか)を立て、どの泳法をマスターしたいかを決める。そのための練習法を1ステップずつ読んで頭で理解する。理解できたら、プールに入って実際にやってみる。プールも最初は足がつく深さから。足が着かないところで始めたら、沈んでしまって水を飲み、もう二度と泳ぎたくなくなってしまうかもしれない。

 泳いでみて(最初は浮いてみて)、思い通りにできなかったらテキストにもどる。なぜできなかったか、自分で原因を見つけなくてはいけない。できたときは先に進むためにテキストに返る。このように、テキスト→プール→テキスト→プールを繰り返し、あきらめなければ少しずつ泳げるようになるはずだ。
 この方法ではオリンピック選手にはなれない。でも泳げるようにはなる。そして泳げば泳ぐほどもっと泳げるようになるはずだ。要は、いいテキストを見つけて、地道に理論と実践を繰り返していくことがポイントだ。

○ いいテキストが必要だけど

 ただし問題がある。いいテキストが少ないことと、いいテキストはあんまり面白くないことだ。いいテキストは現実的なので、刺激的な表現や魅力的な言葉がちりばめられていないからだ。投資の目的や投資家の性格が違えば、いいテキストの定義も変わってくるだろう。

 残念ながら、日本の金融界で「定番」といわれる個人投資家向けテキストはまだ存在しない。これが多くの投資家のフラストレーションの源といえるだろう。今はまだ、いくつかの良書(これも自分で探すしかないが)を参考に、自分なりのテキスト、ノートを作っていく時代なのだと思う。

 私たちは個人投資家のパイオニアなので、これ仕方ないのかも。

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