お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
新入社員のためのマネー・テクニック(1)
・・入社○年目なのに貯金は新入社員なみ、の人にもお役に立ちます。
4月!!ということで、新入社員のためのマネー・アドバイスを何回かにわたってまとめてみたい。入社したのは何年も前だけど、いまだになかなかお金が貯まらない、殖やせないという人も参考にしてください。
○会社の貯蓄制度を知ろう!
入社してしばらくは、仕事や人の名前を覚えるのに精一杯でなかなか会社の「貯蓄制度」にまで頭がまわらない。まして今まで貯蓄したことがなければ、しくみや金利、税金などを説明されてもピンとこない。
その結果、先輩にすすめられるまま「ぴったりこない」制度に加入してしまったり、すごく有利な制度を使わないでみすみす損をしたりすることになってしまう。そうならないためには自分の会社にどんな貯蓄制度があるか、早いうちに調べておこう。
会社の貯蓄制度は、社員向け保養施設やスポーツクラブの割引チケットなどと同様に「福利厚生制度」の一部。利用する人だけが得をするのだ。
まずチェックしたいのは、天引きの貯蓄制度。天引きとは給料が銀行口座などに振り込まれる前に、一定の(指定した)金額が引かれて預金や保険に振り替えられるしくみ。給料の手取額(=税金と社会保険料をひいた後の額)が20万円のとき2万円を天引きにすると口座に入るのは18万円だ。
できるだけ早く天引き貯蓄をスタートし「給料からまず貯める分をひき、残ったお金で生活する」という「貯蓄先どり生活」を身につけてしまおう。すぐはじめれば5年後10年後に大きな差がつく。1人暮らしでゆとりがなくても手取収入の1割を目標に。入社すぐのスタートが無理なら、ボーナスで一息ついた7月からでもかまわない。初給料は親やお世話になった人へのプレゼントなんかも買わなくちゃいけないから、ここからは貯めにくいしね。
収入の1割貯蓄を実行すると10年後には(利息を計算に入れない元本だけで)「年収分の貯蓄」ができている計算だ。300万円か500万円か。これだけあれば一旗挙げられそうな気がしない? 天引きをやらなければ10年後もゼロのまま・・の可能性は大きい。すぐに決断、行動だ。親元通勤や寮など恵まれた環境なら2割貯められる。年収分貯蓄に5年で手が届く。
○天引きの王道、財形貯蓄からはじめよう
むかしは世の中の金利より3〜5%も高い夢のような「社内預金」があったが、今はほとんど姿を消している。でも「財形貯蓄制度」は健在。これは会社個別の制度ではなく、会社員(公務員)の財産作りを国や会社が応援しましょうという公的な制度だ。これが使えるのは会社員の特権というわけ。
会社が提携している金融機関(銀行、証券会社、保険会社、郵便局など。複数あることも)のそれぞれの金融商品に天引きで積立てる。利回りは金融商品によって決まるが、一般より高いわけではない。では確実に貯まる以外に、どんないいことがあるのだろうか。財形貯蓄には3つの種類がある。
・一般財形貯蓄 目的を問わない積立で限度額もない。引き出し自由。
・財形住宅貯蓄 マイホームを買うなどの目的で引き出すなら、
550万円まで利子に非課税※
・財形年金貯蓄 一定の条件を満たして、年金形式で受け取るなら
550万円(保険は385万円)まで利子に非課税※
※非課税枠は、財形住宅と財形年金の合計額
今の低金利では「非課税」の魅力は小さいが、これから金利が高くなるとばかにできないからおぼえておこう。また3つのうちどれでも、1年以上積立て50万円以上の残高があれば、けっこう条件のいい(つまり金利の低い)「財形持ち家融資」という住宅ローンや「財形教育融資」という教育ローンを借りることができる。将来選択の余地が増えるのはいいことだ。
一般財形は、育児・教育・介護・自己再開発など特定の理由でお金を引き出すと、それを応援する「給付金」がもらえることもある(会社による)。チェックしておいて損はない。
○年以内に家を買うぞ!という具体的プランがあるなら「財形住宅」がいいが、それ以外の新入社員は「一般財形」ではじめるといい。一般財形なら、結婚でも独立起業でも留学でも自由に引き出せるから使いやすい。ただ旅行や車のために引き出していたらふえないから、引き出すのは特別の目的に限定するのがいい。私も29歳での独立開業資金の一部は「一般財形」で貯めました。
だが、天引き貯蓄も万能ではない。次回は天引き貯蓄の限界やデメリットをみていこう。
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