お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
<天引き貯蓄のデメリット>
天引き貯蓄のメリットは、かならず貯まり知らないうちにふえるということ。給料が口座に振り込まれるまえに、指定した額がべつの金融商品に振り替えられるから当然だけど、銀行口座やMRFからの「自動積立」のように残高不足で積立不可ということになる恐れがない。やっぱりこれはすごい。
この天引きを<うまく使えば>貯蓄上手になれる。だが、天引きは万能ではない。会社によっては「えっ」というような商品が天引き金融商品として存在している。で、一度手続きをしてしまうと、悪い天引きを1年2年5年10年と惰性で続けてしまう恐れがある。おそろしい。そういう目にあわないために、次のことに注意してほしい。
1、保険/共済の天引きには要注意
天引きだからといってすべてが「貯蓄」とは限らない。いわゆる団体扱いの「保険」「共済」を契約するとその保険料/掛け金も天引きされる。必要な保障のために適切な額を買っているならいいが「保険料が割安だから」といらない保険を買っている(買わされている)ケースは少なくない。
「ふつうなら保険料1万円のところ団体割引で6000円、なんと4割もお得!」といらない保険を買ってしまうと1年で72,000円もむだに払う(=お金を捨てる)ことになる。10年で72万円! だから保険/共済は安易に手続きをしないこと。社会に出て日が浅いと、保険や共済はよくわからないのがふつうだが、早めに「自分に必要な保障は何?」というのを真剣に考えたほうがいい。
独身者なら、基本的に入院したときに給付金が払われる「医療保障」だけを1日5000円くらい手当てしておけば十分だ。死んだときに保険金が払われる「死亡保障」はいらない。医療保障を買ったら、けがでの入院や死亡を補償する「傷害保険」も不要。医療保障は20代なら月1500〜3000円くらいで買える。
天引きで買える会社の保険・共済に「医療保障だけ」というのがなければ、会社にたよらず、民間の医療保険/医療共済を買うのが正解だ。会社にあっても民間の商品と比べてみることをおすすめする。くどいが死亡保障はいらない。死亡保障がついている保険/共済はその分保険料が高くなるので損、買わないことだ。
2、年金はまだまだ先の話
得か損か、はじめるべきかやめておくべきか、ちょっと悩むのが退職後のお金を貯める「年金」系の保険/共済だ。早くから積立をはじめればその分たくさん貯まるのは事実。だが保険/共済はふつうの貯蓄と違って「中途解約」のペナルティがある(解約手数料分を差し引かれる)のが多い。積立をはじめて数年以内の解約では元本割れをすることもある(期間は商品によって違う)。
新入社員や20代社員なら、退職にそなえる前にまだまだやるべきことがたくさんある。迷う必要はない。今はまだ申し込む時期じゃない。退職後に向けて資金作りを始めるのは40歳くらいからでいい。それまでは天引きも天引き以外の貯蓄も、年金商品ではない使い道が定まっていないものを選ぼう。
3、天引きに「運用・投資型」商品は少ない(ない)
将来のための貯蓄をすべて「天引き」で手当てできれば楽ちんなのだが、なかなかそうはいかない。ほとんどの天引き貯蓄は「預貯金」か「保険/共済」で、株式などで運用する「投資型の商品」は少ないからだ。確実にたまるメリットは大きいが、大きく殖える可能性がないのは天引き貯蓄のデメリットだ。
就職後、ある程度の金額(目安は生活費1〜2か月分)の緊急資金(予想外の出費に備えるお金)が貯まったら、ちょっと先の将来に向けて殖やすために投資型の商品での積立を始めたい。ちょっと先というのは5〜10年先。投資型の商品のおすすめは、月1万円で積立できる投資信託だ。
長期の積立は元本保証の「天引き貯蓄」と投資型の商品二本立てが理想。どの投資信託で積み立てるか、数ヶ月〜1年先のために今から勉強をはじめておきたい。
4、持ち株会はどう考える?
では持ち株会はどうだろうか。これは次回お話したい。お楽しみに。
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