お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
○退職後資金設計のゴール
ちょっと舌を噛みそうになってしまうが、ここ数年は「老後資金」といわずに「退職後資金」ということにしている。自分が年齢を重ねてきたせいもあるのだろうが、60歳で退職してそれ以降を「老後」とよぶことに抵抗を感じはじめたせいだ。
ちょい悪オヤジって50代くらいの感じでしょ?それが5年か10年かしたら「老人」というのはちょっとね。でも長いのでここではちょっと縮めて「退職プラン」と使わせてもらう。
さて、その退職プランの目的を私は次のように考えている。
1、収入・貯蓄・支出などをバランスさせて、最終的な帳尻を合わせる。2、その中で、自分と家族と周りの満足度を最大にする。
○運用プランの前にやるべきこと
先日、退職後間もない方が運用の相談に来られた。投資の経験がほとんどなく「このご時勢だから、自分の金融資産を積極的に運用しなくてはいけない。投資をしないのはおろかだ。最低3%で運用しなくては」というプレッシャーを感じておられた。
しかしお話をうかがってみると、生活費は年金収入や不動産の家賃収入で十分まかなっておつりがくる。全部を普通預金に預けていてもわずかずつ増え、使い切れなかった年金が上乗せされて残高はどんどん増え続けるという状態だった。
使う予定のない(相続させる予定もない)金融資産なので、インフレで目減りしても痛くないし、年20%ずつ増えても生活は何も変わらない。
いろいろお話をして、運用の前にお金をどう使うかのプランを一緒に考えることになった。今までは「無駄遣いしてはいけない」「資産はふやさなくてはいけない」という考えにとらわれていたので、使うプランをつくるというのは、新鮮だったという。
結果、古くなった一戸建てを売ってバリアフリーの新築マンションに引っ越すことや、外国にオペラを見に行くことなどが候補にあがってきた。運用のプランは、使うプランが固まってから改めて考えましょうということになった。
これほど恵まれた人は多くないだろうが、少なくとも退職プランの目的が「増やすこと」や「運用すること」ではないことは、おわかりいただけるだろう。
○いったい足りないのか、余るのか
「資産が余るので使うプランを」という人よりも「このままでは、希望の生活水準を達成できないので対策が必要」という人の方が多いかもしれない。 でも、足りないのか余るのかは実際に試算してみなければわからない。大丈夫と安心していた人の資産が実は少なすぎたり、足りないと不安に思っている人が計算してみたら余ったりという例を今までたくさん見てきた。
漠然としたイメージや、根拠のない予想ではだめ。実際に試算してみることが大切なのだ。
前回、自分の年金額を正確に調べてみようと提案した。それが試算のための第一歩だ。ほかにも収入があるなら、それらをなるべく正確に見積もろう。だいたい次のものが考えられる(基本的に税引後金額で考えよう)。
・退職金 ( 歳で 万円)
・企業年金 ( 歳から 歳まで 年 万円)
・加入済みの個人年金等 ( 歳から 歳まで 年 万円)
・不動産等の収入 (年 万円)
・株式等の配当 (年 万円)
それから、次のものも考えたい
・退職までの貯蓄 ( 年後までに 万円)
・相続(予定があれば) ( 年頃? 万円)
帳尻を合わせることが目的なので、収入をきちんと見積もらないと次に進めない。収入がわかったら次は、支出の見積もりだが、その前にもうひとつ考えたいことがある。「何歳まで働くか」だ。これを次回考えてみよう。
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