50代で考えるマネープラン(3)

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

50代で考えるマネープラン(3)

○いつまで働くか

 「定年」「退職」という言葉をきいて、いったい何歳を思い浮かべるだろう。これまでサラリーマンの定年というと60歳が一般的だったが、今年の4月に「高年齢者雇用安定法」が改正され、老齢厚生年金を全額受け取れる年齢まで働き続けられるようになりつつある。

 老齢厚生年金とは、厚生年金から払われる年金で、1941年4月1日以前生まれ(現在65歳以上)の人は60歳から受け取っているが、それ以降生まれの人は、徐々に受け取り開始の年齢が後ろにずれていき、1949年4月2日以降生まれの人(現在57歳以下)が全額を受け取るのは65歳からとなっている(ただし60歳から老齢厚生年金の一部を「部分年金」として受け取る。その後部分年金の受け取り開始も後ろにずれて1961年4月2日生まれ以降は部分年金はなくなる。女性の場合はこれより5年遅れ。)

 65歳まで働けるようにするため、(1)定年の引上げ、(2)継続雇用制度の導入、(3)再雇用制度の導入、(4)定年制度の廃止などが実施されることになる。マクドナルド社の定年廃止は大々的に報道されたので、ご覧になった方も多いだろう。

 この中でいちばん普及しそうなのは「再雇用制度」らしい。いったん退職して改めて雇用契約を結ぶので、労働時間、労働日数、賃金が退職前と大きく変わることが考えられる。収入は、退職前の5割前後になりそうとの見方もある。
○再雇用で収入が半減しても

 収入が退職前の5割に減るときくと、働く意欲がなくなる人もいるかもしれない。しかし、一般に退職前は生涯でもっとも収入が高い時期。その半分なら、新入社員の頃よりもずっと高い額のはずだ。退職前の年収を900万円とすると半分になっても450万円。入社したころの年収を300万円としてもその1.5倍だ。
 退職して無職になると、61〜64歳から老齢厚生年金の一部をもらっても、とても生活費をまかなうことはできない。しかし450万円(手取約360万円)の収入があれば生活費のほぼ全額をカバーできるはずだ。
 この年齢までにはだいたい子どもも独立しているし、住宅ローンも終わっている。住宅ローンを返済しながら、2人の子を大学に通わせるという50代に比べると、半分の収入でも十分生活できるのだ(これについては次回以降、詳しくお話しする)。

○「どういう働き方か」が課題

 今の50代(あるいは40代以下でも)は「働くのは60歳までで十分。もうそれ以上働きたくないよ」と考えている人も多いだろう。
 もちろん、40代、50代と同じような働き方(たとえば通勤片道90分、朝9時から夜9時まで働き休暇もとれない)を思い浮かべると、うんざりするのは当たり前だ。
 しかし、週3〜4日勤務、夕方5時には退社、ノルマなし・・長期休暇も取れるという働き方なら、ちょっと考えてみる気にならないだろうか。
 40年ほど前は、定年は今より若い55歳くらいだったが寿命も65歳くらい(男性)だったので、仕事をやめてからの生活は10年くらい。今の男性の寿命は78歳だから、余生を10年とすれば68歳くらいまで働くのが健全ではないだろうか。女性の寿命は85歳、女は75歳くらいまで働いてもいい?

 とはいっても、60歳でいったん退職したら、その後数ヶ月〜1年くらいたっぷり休みを取りたいもの。在職中にやりたくてもできなかったこと・・ヨットで日本一周するとか、日本百名山に登るとか・・を実行するのだ。40年働いた自分に十分なご褒美をあげ、リフレッシュしたい。しかしその後何らかの形で、また働くことを考えてみてはどうだろう。ただし今度は「働く形」を自分で自由にデザインするのだ。

 60歳以降の生活費を仮に 年360万円とすると、60歳〜64歳までの5年間収入がなければ1800万円必要。この5年間、部分年金を年150万円受け取れる場合でも約1000万円必要だ。
 65歳まで赤字が出ない程度の収入があれば、その分準備すべき額はぐんと少なくてすむ。妻が年120万円、夫が年240万円で計360万円という働き方もあるだろう。妻が360万円稼いでもいい。

 退職後の資金を考えるとき、60〜65歳までをどうするかで、大きな大きな差が出てくる。60歳以降の働き方を、50代の今のうちから具体的に考えておきたい。このデザイン力で、退職後は大きく変わってくると思う。

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