お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
40代から知っておけば鬼に金棒です。
○退職は資産運用のゴール?
今53歳、退職が60歳だとすると、手持ちの金融資産の「運用期間」は何年になるだろうか?ちょっと考えてみてほしい。えっ7年?
常々「積極的に運用していいのは使う予定が10年以上先のお金」と話している。長期資金を10年以上先に使うお金と定義しているわけだ(5年以上とする考え方もある)。
上の問いの答えが「7年」なら、50代の人のほとんどは「積極的な運用」をしてはいけないということになる。もちろん、この考え方は間違いだ。
現役時代の運用のゴールを退職年齢と考える人もいるが、間違いだ。退職は、さまざまな条件が変わる「転換点」だけど、運用が終わるわけではない。 先の質問に戻るが、一定額の退職金を受け取る人なら、答えはおそらく「10年以上」になるだろう。
たとえば今ある金融資産が1000万円、退職金の見込み額が2000万円としてみよう。退職後(60歳から64歳まで)年金だけでは不足する生活費を月15万円、年180万円とすると、当初5年間で使う予定のは900万円だ。
これをどこから出すかだが、退職までに貯めた(60歳時点でどこかに預けてある)お金からより、「現金(キャッシュ)」で受け取る退職金から出すのが効率的だ。退職金から5年分の生活費900万円をMMFや定額貯金などに入れておき、そこから必要額を引き出して使う。
この方法をとれば、今手元にあるお金は10年以上運用する「長期資金」となるので、積極的に運用することができる。今から退職までに積み立てるお金も、長期資金としてリスクをとりながら運用できる。
○退職金を受け取ったときのポートフォリオを考えよう
退職後の資産運用を考えるとき描いておきたいのが、退職金を受け取ったとき(直後)の資産のポートフォリオだ。
現在の(退職後資金用の)金融資産が1000万円、これから60歳までの7年間、年150万円(計1050万円)貯蓄でき、退職金が2000万円なら、元本だけで考えて退職時に4050万円になる。
その後のお金の使い方(生活費、家の改築費、海外旅行費など)を考えて、以下を満たすポートフォリオをつくってみよう。
・5年未満に使う分・・・・MMFなど安全性と流動性の高いものに
・5〜10年以内に使う分・・7割を安全性の高い長期型のもの(国債など)で・10年以上先に使う分・・・約半分を投資型の商品で積極的に運用
退職金は、会社に貯めている「安全性の高いお金」、定期預金や国債などの仲間と考えられる。そうすると、退職に向けて貯めていくおかねの半分以上は、積極的に運用できることがはっきりわかる。
先の例で、たとえば
・退職時の金融資産総額 4050万円(うち退職金2000万円)
・うち5年未満のお金 1400万円(生活費900万円+ほか500万円)
5年以上10年未満 600万円(生活費400万円+ほか200万円)
10年以上 2050万円
とすると、積極的に運用できる資金は約1200万円(=5年以上の3割+10年以上の5割)となる(退職時点)。退職までに貯めるお金(退職金以外)の6割だ。したがって、手元にある1000万円のうち6割、600万円を退職まで積極的に運用しつづけ、毎年積立てる150万円のうち6割、90万円(×7年=630万円)もリスクをとって運用するのがよい。ということになる。
○自分の場合で考えよう
ここで出した例はよくあるものだが、退職金の額や今の貯蓄額、退職後の支出は人によってさまざまだ。自分の場合は、退職時にどんなポートフォリオが望ましいか、そこから逆算して今のポートフォリオはどういう割合にしたらいいか、考えてほしい。
えっ、考えるのが面倒くさい?計算が苦手?
では、私のところに相談に来てください、と言いたいところだが、お金の計算とはこれから死ぬまでの付き合いになる。少々面倒でも、計算が苦手でも、自分で考えて計算してみる練習を、今のうちからやっておくべきだろう。
子どもの頃の夏休みの「自由研究」に比べたらずっと楽でしょ?
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